ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ソメコとオニ』- 天真爛漫なソメコと滑稽なオニ

ソメコは最後までソメコです。オニのイメージが変わります。

 

ソメコは 五つです。

遊びざかりの ソメコです。

   

 「ソメコ、あっちゃ行って あそべ。いい子だからナ」

 

お父ウも、

おっ母ァも

兄ちゃんも

姉ちゃんも、

ソメコの遊びには 付き合いきれません、

   

ある日、

ソメコは いくらでも遊んでくれる おじさんと出会いました。

おじさんの正体は?

オニ。

ソメコは オニに さらわれてしまいました。

  

でも、

オニにさらわれても 泣いたり、こわがるどころか、

ソメコは 遊びの さいそくをします。

 

 「カクレンボしよう」

 「ヨオシ!」

 

オニは、人間のすがたを やめて、

オニのすがたに かえります。

 

 「アーララ、アララ、おヘソが みえら!

困り果てた オニは、

ソメコのお父ウに 手紙を 書いた。

  

それは、こんな手紙です。

 

 ソメコの遊び相手を させられ、

 夜も 眠れない。

 あたまが おかしく なりそうだ。

 たすけてくれ。

 はやくソメコを つれにきてくれ。

 金の俵を一ぴょう、馬につんでやるから。

 

     ・・・

遊びざかりのソメコに手を焼いているのは、家族だけではありませんでした。ソメコをよく知らないオニは、ソメコにてんてこ舞いです。オニは、情けなくて 滑稽なすがたです。それに対して、天真爛漫なソメコが、魅力的です。ふたりの人物像がはっきりと描かれています。

怖いオニという常識に反するすがたやオニの手紙が 笑いを誘います。

また、「ひとつ。あがってたんセ」「これはンマイ」など方言のような言葉が見られます。ぶっきらぼうな感じの言い方かもしれませんが、温かみを感じます。

     ・・・

※『ソメコとオニ』 斎藤隆介作、滝平二郎絵、岩崎書店  1987年  (2023/6/23)

SHARE