ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ゴリオとヒメちゃん』- 見た目はちがうけど、こころは同じ

ゴリラが大好きな作家・アンソニー・ブラウン(Anthony Browne, 1946-)の絵本です。

   

   

動物園に 

ゴリオという とてもかしこい ゴリラが いました。

手話をならい 身振り手振りで はなしが できました。

不自由のない 暮らしのように 見えました。

でも、ほんとうは 淋しかったのです。

 

 「ぼくが・・・ほしいのは・・・ともだち

 

ゴリオは 手話で つたえました。    

世話係は、

ちいさな ねこを つれてきました。

なまえは ヒメちゃん。

   

   

 ゴリオは、

 ヒメちゃんに

 ミルクや ハチミツを あげました。

 なにを するのも いっしょです。

 トイレも 一緒にしています。

  

     

あるとき、

キングコング」のテレビ映画を 見ていた

ゴリオは だんだん いらついて

とうとう いかりを 爆発させ 

テレビを 壊してしまいました。

     

    

 「だれが テレビを こわしたんだ?」

 「ヒメちゃんを つれださなきゃ いけないな」

   

 

ヒメちゃんが 言いました。

  

 あたしよ!

 あたしが

 テレビを こわしたの!

     

みんな 大笑いです。

    

それからも 

ヒメちゃんと ゴリオは ずーっと いっしょです。

   

      

画面いっぱいに描かれたゴリオ。圧倒的な存在感です。ゴリラの作家といわれるアンソニー・ブラウンの面目躍如たる絵本です。また、ゴリオの頭や背中にちょこんと乗っているヒメちゃんは、可愛らしい人物です。いかつい感じのゴリオとやさしいヒメちゃん、正反対の人物ですが、相手を思いやる心はおなじです。
        

ヒメちゃんが初めてゴリオに会い、手のひらに乗った時、ヒメちゃんの不安そうな表情が描かれています。対照的にゴリオは、なんと優しい目をしていることでしょう。アンソニー・ブラウンの愛情あふれる表現です。ちいさなヒメちゃんがテレビを壊したと言いはる場面は笑えます。おはなしは、ハッピーな結末です。

     ・・・

※『ゴリオとヒメちゃん』 アンソニー・ブラウン作、久山太市訳 評論社 2009年  (2024/4/5)

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