ふるはしかずおの絵本ブログ3

『あしたうちにねこがくるの』-どんな ねこがくるのかしら?

ねこが わが家に やってくることになった おんなのこ。

どんなねこなのか、いろいろ想像しています。

   

       ・・・

うちに ねこが くるの。

ママの 友達が つれてきて くれるのよ。
いったい どんな ねこかしら?  

 

   
 かわいい ねこだったら

 いいなあ・・・
      
 

「ライオンみたいな ねこだったら どうする」とママ。

 

 まさか!

   

おんなのこの 想像は ひろがります。   

かいじゅうみたいに 乱暴だったら

どう しよう。

   

わたしのおやつを 盗んでばかりの ねこだったら

どう しよう。

   

   

 まねきねこみたいに 動かなかったら

 カメレオンみたいに 色がかわる ねこだったら

 ヒツジみたいに おおぜいで やってきたら 

 どう しよう。

   

    

わたしより ピアノがうまい ねこだったら

道に 迷ってばかりの ねこだったら

おどりが じょうずな ねこだったら

どう しよう

    

  

 ピンポーン

    

 ひゃー かわいい

   

           ・・・

家にやってくるねこは、「おにんぎょうみたい」「ライオンみたい」「かいじゅうみたい」「まねきねこみたい」「カメレオンみたい」「ひつじみたい」な、ねこかもしれないとおんなのこは想像しています。これらの比喩表現が、彼女の心を語っています。マイナスの想像ばかりですが、それだけに、おんなのこのドキドキ感がつたわります。

    

ささめやゆきさんの絵は、ユーモアたっぷりです。おんなのこの想像を豊かに表現しています。

    

        ・・・

※『あしたうちにねこがくるの』 石津ちひろ文、ささめやゆき絵、講談社 2000年

 

   

【 追 記 】

3歳から6歳の幼児の「つぶやきことば」について、かれらの使う比喩表現を分析したことがあります。直喩、活喩(擬人法)、音喩(オノマトペ)はもちろんのこと、隠喩の使い手でもありました。直喩について、幼児は、「~みたい」という表現をよく使います。しかし、「~ようだ」という直喩の表現を見たことがありませんでした。直喩はふたつのものの類似性の発見だと言われています。その表現に「~みたい」が多く見られ、「~ようだ」が見られなかったのは不思議でした。「~みたい」には、直観的な感じがありますが、「~ようだ」には、すこし分析的な思考を感じます。  (2024/4/22)

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