ふるはしかずおの絵本ブログ3

『壁 ベルリン ひきさかれた家族』- いまもある「壁」

ベルリンの壁で隔てられた家族のことを

「ぼく」の視点から、えがいています。

   

    

おかあさんが 言った

   

 みんなが 寝ているうちに 

 あの壁は つくられて

 父さんは もどれなくなっていた

   

ぼくたちは むこうに 行けなかった

    

     

ぼくは 夢を見た

父さんが ぼくたちを 助けにきてくれる夢を

    

   

いろいろな やり方で

壁を 越えようとした人がいた

    

 成功した人も いる

 失敗した人も いる

 

    

ぼくは 壁の近くから トンネルを ほりはじめた

   

    

トンネルが 完成して

ぼくたちは 脱出を 決行した

トンネルの 入口まで、あと一歩というとき

  

 「とまれ!」

  

   

ぼくたちは 立ちすくんだ

ぼくは こわくて ぶるぶる ふるえながら

兵士に 父の写真を みせて 家族のことを はなした

    

      

 家族は いっしょに くらさなきゃ 

    

兵士は ぼくたちを 見のがしてくれた

ぼくたちは 父さんと 再会することができた 

    

            ・・・

1961年に造られたベルリンの壁は、1989年11月、取り壊されました

この壁によって、家族が、東西ベルリンに分かれて、暮さなければならなかったケースが、数多くあったことでしょう。また、友人、恋人たちが、分かれなければならなかったことも、あったことでしょう。「ぼく」は、良心的な兵士に出会いましたが、壁を乗り越えようとして、殺された人もいます。「ベルリンの壁」が背景ですので。幼児には難しいテーマかもしれませんが、小学校中学年ぐらいの子どもたちには、読んでほしい絵本です。

         

「壁」は、いまもあります。国境にある壁だけでなく、言葉や文化の壁、社会的な差別の壁もあります。人を差別する心のなかの「偏見という壁」もあります。

        

むこうがわのあのこ』(The Other Side 2001年)というアメリカの絵本があります。黒人の少女、クローバーと 白人の少女、アニーが、「境界フェンス」をはさんで出会う物語です。ふたりの行動を通して、差別のない社会、あかるい未来が展望されています。

 

       ・・・

※『壁 ベルリン ひきさかれた家族』 トム・クロージー・コール作・絵、渋谷弘子訳、汐文社 2015年  (2026/4/18)

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