ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ぼくのうた、なんだっけ?』- 「読者は知っている、人物は知らない」

じぶんの歌を 忘れてしまった ことりのおはなしです。

    


春は 

ことりたちの 結婚の 季節です。

つぐみも こまどりも 自分の声で ないて

およめさんを みつけました

    

でも、

ことり

じぶんのうたを わすれて しまったのです

ちょっと かんがえてから 

くちばしを ひらいて なきました

 

 ワン

   

 ワン ワン

 いぬが しっぽを ぷるぷる ふって

 こたえました

   

    

こんどは ブーブー

ぶたが 

やってきました

    

ことりは よくかんがえて

こんどは モーモー

「なにか ごよう?」と うしが いいました

   

    

ことりは

ニャーニャー

メ―メ―?

ヒーホー

と鳴くと

ねこ、やぎ、ろばも やってきます

    

 「もう、なにも おもいつかないよ」

  

みんな、しーんとして かんがえます

   

   

 チリリリリリリ

 

 「こんにちは・・・なかまを さがしに きたの

  と かわいい ことりの おんなのこが いいました

  

ことり おおよろこび

みんなは おおはしゃぎ

   

 ブーブー、モーモー、メ―メ―、ワンワン、ニャーニャー、ヒ―ホー 

 ピピピ チリリり

 

うたを わすれた ちいさい ことりは

およめさんを みつけることが できました

 

            ・・・

自分の歌を忘れてしまったことりが、ワンワン、モーモー、ブーブー・・・と鳴きます。もちろん、ことりのうたではありません。読者の子どもは知っています。「ことりは、ワンワンと鳴かないよ」と、ちょっぴり優越感を持って読んでいくのではないでしょうか。また、笑いをさそう仕掛けです。

「読者は知っている、でも、人物は知らない」という絵本によくあるパターンです。

   

いぬ、ぶた、うしたちは、ことりのことを心配するやさしい人物です。ことりとユーモラスなやりとりをしています。ことりや人物たちの表情もおもしろく、絵を見る楽しみがあります。ストーリーも自分の声をさがすというシンプルなものです。ストーリー絵本のはじめの一歩になります。

   

            ・・・

※『ぼくのうた、なんだっけ?』 ヘンドリック・ヨナス作/絵、いしかわももこ訳、偕成社 2020年 (2026/4/24)

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