ふるはしかずおの絵本ブログ3

『キスなんかしないよ!』- 好奇心いっぱいのアンナリーサ

「キスなんかしないよ!」って、

誰が 誰に キスをしないと言っているのでしょうか?

  

   

ひろい ひろい 草原に、

メイかあさんと おおぜいの 子どもたちが 住んでいました。

そのなかに、

知りたがりやで がんこな おんなのこ

アンナリーサが いました。

 

メイかあさんは、

まいあさ、

ルエラという 牛の 乳しぼりに でかけます。

いつも こんな 歌を うたいます。

   

 ルーエラ ルエラ

 あまい  ミルクを だしとくれ

 おなかを すかした こどもたち 

 ほかほか ミルクを まってるよ

 おいしい チーズを まってるよ

   

ふたつの バケツが いっぱいになると 

メイかあさんは、

お礼の歌を うたい、

ルエラの 鼻に ちゅっと キスをします

  

   

ある日、

アンナリーサは、

ルエラの ミルクを しぼりに 

こっそり 牧場に むかいました。

 

アンナリーサは、

メイかあさんと おなじ 歌を うたい

乳を しぼり

バケツが ミルクで いっぱいになると、 

メイかあさんと おなじ 歌を うたいました。

 

   

でも、アンナリーサは、ルエラに キスを しませんでした

   

   

つぎの日

ルエラの ミルクが でません。

       

 「アンナリーサ、ルエラに なにか したね!」

 「なんにも」

 「ちゃんと キスした?・・・ キスしておくれ」

 「ぜ―ったいに いや!」

    

ミルクが ないので、

子どもたちは、おなかを すかせて 泣いたり 怒ったり。

  

   

アンナリーサは、

ルエラの 目に 涙が うかんでいるのを 見ました。

キスをしたら どんな感じかな?

かんがえれば かんがえるほど 知りたくなりました。

     

 「さあ キスをしておくれ」  

 「うーん・・・」

     

とうとう

アンナリーサは、

ルエラに ちゅっと キスをしました。

ルエラは 干し草と おひさまと クローバーの いいにおいがしました。

ルエラの ミルクが 

ぴゅっぴゅっと バケツに はいります。

  

アンナリーサは、もういちど、ルエラに キスをしました。

 

 ちゅっ!

     

          ・・・

牛のルエラにキスをするなんて、「ぜーったいに いや!」と言っていたアンナリーサ。彼女は、ルエラの目に涙をみたとき、「ルエラに キスしてみようかな」と思います。「きもち わるいな」とも、「どんな かんじが するのかな」とも言っています。どんな感じがするのか知りたいアンナリーサ。「うーん・・・」としばらく考えて、ルエラにキスをします。好奇心には勝てない、魅力的なおんなのこ、アンナリーサです。

     

メイかあさんは、たくさんの子どもを育てる肝っ玉かあさんです。ミルクを絞る前と絞った後に、ルエラに歌を歌ってあげています。絵には多くの子どもたちが描かれています。32人? みんな、しあわせそうです。

         ・・・

※『キスなんかしないよ!』 フィリス・ルート文、ウィル・ヒレンブランド絵、こだまともこ訳、徳間書店  2001年  (2024/2/23) 

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