ふるはしかずおの絵本ブログ3

絵本の文脈をつくる-『ロージーのおさんぽ』

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『 ロージーのおさんぽ 』は、

絵で、ストーリーを語っています。

文章は、最小限のことしか語りません。

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めんどりのロージーが おさんぽに おでかけ。(第1画面)

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おにわを すたこら(第2画面)

首が 曲がるほど 草かきに ぶつかる  きつね。

ロージーは、間一髪、 難を逃れますが、

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きつねが、命を狙っていることに気がつきません。  (第3画面)

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おいけの まわりを ぐるり(第4画面)

水しぶきがあがり、きつねは またも失敗。

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しかし、ロージーは、この危機に気がついていません。(第5画面)

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絵本の文章は、きつねが めんどりのロージーを狙っていることを、ひとつも語りません。絵本の絵が、それを表現しています。

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3歳児や 4歳児は、2人の人物の関係( 命を狙う-狙われる )が、よくわかっていないときがあります。きつねがロージーを狙っているという文脈が、文章にありませんので( したがって語られませんので )、読者は、2人の関係を理解しておくことが求められています。

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『 ロージーのおさんぽ 』は、

文字がすくないので、一見すると、やさしい絵本のようにみえますが、ある意味で、3歳、4歳の子どもには、むずかしい絵本ともいえます。絵本の文脈を、読者が 自分で つくらなければならないからです。

文脈をつくって読むことで、ロージーを狙っているきつねが、何度も 失敗することの意味が わかります。

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読み手は、

読みかたりをはじめる前に、

表紙を見せながら、

人物の関係について説明し、

絵本の文脈を 前もって つ くっておくのがよいようです。

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ロージーは気づいていませんが、散歩をするときには、前だけでなく、後ろの危険も見なければなりません。こうしたことは、わたしたちの生活にもありそうです。世の中には、後ろから狙っているきつね( 悪者 )が多いものです。

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※『 ロージーのおさんぽ 』   パット・ハッチンス、 渡辺茂男訳、 偕成社 1975年  (2013/8/6)

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