ふるはしかずおの絵本ブログ3

『白い池 黒い池』- おばあさんの心の声をきくシラーズ

継子いじめの、イランのはなしです。

主人公は、おばあさんの心の声を聞く、心優しいシラーズです。

 

     1.

ある日、

亡くなった母さんの遺した、

毛糸玉が、

2階のバルコニーから 転げて、

風に乗って、飛んでいって しまいました。

   

シラーズは、

毛糸玉の落ちた家の とびらを たたきました。

とびらの 小窓から、

おばあさんが、言います。

 

 「条件付きで、かえしてやっても いいよ

 「よろこんで」

 

 

      2.

乱雑な台所で、

おばあさんは、言います。

ここを全部、叩き潰しておくれ

   

しかし、

シラーズは、

食器を かたづけ、

台所を 掃除して、

おいしいスープを つくりました。

  

荒れ放題の 庭で、

おばあさんは、言いつけます。

花を ぜんぶ引き抜き、花のさかない庭に しておくれ

    

しかし、

シラーズは、

庭を 手入れして、

庭を 生きからせました。

  

髪を、バッサリ切っておくれ」。

しかし、

シラーズは、

おばあさんの髪を 洗い、

ブラシをかけ、髪を編んで 結いました。

  

 「ほら、おまえの 毛糸玉だよ」

  そして、こんなことを 言いました。

 「裏門を出ると、白い池と黒い池がある。

  白い池に三度、黒い池に三度つかりなさい。

  三度だけだよ

  

シラーズは、言われたとおりに しました。

家に帰ると

まま母とその娘ナルゲスは、きれいになったシラーズに びっくりします。

   

  

      3.

次の日、

欲にかられた 娘の ナルゲスは、

毛糸玉を おばあさんの家を めがけて 投げ、

おばあさんの家に 行きます。

  

ナルゲスは、

「ここを全部、叩き潰しておくれ」と言われると、

 言われたとおり、台所を 壊し、

「花をぜんぶ、引き抜いておくれ」と言われると、

 言われたとおり、庭を 台無しにしました。

「髪を切っておくれ」と言われると、

 髪を じょきじょき 切ってしまいました。

 

ナルゲスは、

三度だけと言われた

白い池、黒い池に、十度も つかりました。

  

   

みすぼらしく 変わってしまった ナルゲスは、

母親から、言われます。

「目ざわりだから、いっておしまい」

     

       4.

それから、

何年か たちました。

みんな シラーズのことを 忘れませんでした。

 

  人は、思ったことを素直にいうとは限らない。

  人の心に寄り添って、心の声に耳をすまし、

  その人がほんとうに望んでいることができた、

  やさしい少女がいたことを。

 

       ・・・

シラーズは、おばあさんのいいつけを 守りませんでした。でも、おばあさんの心の声に 耳をすませ、おばあさんが本当に望んでいることをしました。そして、白い池と黒い池につかったシラーズは、まま母たちもわからないほど、美しい女性になりました。外見の美しさは、彼女のこころの美しさを象徴しています。

   

ナルゲスは、その反対です。おばあさんの言うとおりにして、すべてを台無しにしました。また、池には、3度だけだと言われていたのに、言いつけをまもらず、10度もつかりました。欲深い人間の姿です。

   

どのように生きることが美しいことかを教えられます。

    

すこし長いはなしです。番号は、読者の便宜のため、起承転結につけたもので、絵本にはありません。

       ・・・

※『白い池 黒い池』リタ・ジャーハーン=フォールズ再話 ヴァリ・ミンツィ絵 もたいなつう訳 光村教育図書 2015年  (2023/8/25)

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