ふるはしかずおの絵本ブログ3

『キャベツくんとブタヤマさん』- 「ドキドキ」と「笑い」の世界

長新太さんのナンセンスの笑劇(衝撃)です。

    ・・・

山の中の 高い つり橋の上で、

キャベツくんと ブタヤマさんが、会いました。

ブタヤマさんは、キャベツくんを 食べたそうです。

    

でも、

つり橋の下を 見ると・・・

おおきなサカナが、ふたりを 食べようと ねらっています。

 

 ブワーッ

 

サカナは ふたりに 水を かけました。

 

 

つり橋に

おおきな ヘビ、

おおきな ムカデ、

おおきな ミミズ、

つぎつぎと やってきました。

 

とつぜん、

へびたちが ロールパンみたいに まるまりました。

 

  めがまわる!

 

 

さいごは、おおきな アオムシが やってきました。

 

 「もうだめだ。ぼくは キャベツくんを 

  いつも たべたい たべたいと おもっていたんだ。

  ゆるしてね ゆるしてね」

 

 「きにしない きにしない」

  

 

 ザブーン

 

 

みんな 川に しずんで しまいました。

 

 

 ゴオー

 ゴオー

 

 ザアーッ

 

 

みんな 川から とびだして きます。

ブタヤマさんと キャベツくんは おおいそぎで 逃げました。

 

 

 「ああ たすかった。・・・おながが ペコペコで めがまわる。

  キャベツ おまえをたべる!」

 

 「おいしいレストランがあるから ごちそうするよ」

        ・・・

ヘビや、ムカデ、ミミズ、アオムシが、つり橋にやってきます。つり橋は、今にも落ちそうです。巨大なサカナたちが、川のなかで、口を開いて、落ちてくるのを待っています。ザブーン。吊り橋が落ちて、みんな川の中。どうなるのかと思えば、みんな 川から 飛び出して逃げました。

 

ナンセンスでもあり、ハラハラ・ドキドキでもある、笑えるはなしです。「ドキドキ」と「笑い」がないまぜになった、とぼけた味わいのある、長新太さんの世界です。

      ・・・

※『キャベツくんとブタヤマさん』 長新太作、文研出版  1990年  (2023/7/7)

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