ふるはしかずおの絵本ブログ3

『つちをほらなくなったスチームショベル』- でも、なぜでしょう? 

工事現場の働き者、ショベルカーのスティーブの はなしです。

でも、土を ほらなくなりました。  

 

      ・・・

スティーブは、仕事が 大好き。

いちにちじゅう 土を 掘っていました。

土を 掘っている時が 

いちばん しあわせでした。

こんな歌も うたいました。

 

 つちを くうぞ、スティーブは

 ほんとに つちを よく たべる

 

ある日、男の子が 言いました。

  

 「スチームショベルって、よごれてて きたないなぁ・・・

  つちを たべているからか」

 

スティーブは、悲しくなり、

土の 代わりに、

何を食べたら いいのか 知りたく なりました。

     

 「ぼくが たべるたのは、バタつきパンとか、リンゴとか、オレンジ」

 「そうね、つちは たべないね」と、おばあちゃん。

 

スティーブは、生まれて初めて、働く気が なくなりました。

 

 

スティーブは、

バタつきパン、リンゴ、オレンジを 食べてみたい、と思いました。

スティーブは、食べ物を 探して、大暴れ。

トラックの 荷台の リンゴを たべ、

オレンジの箱を 口にいれ

パンをかかえた おばさんを空高く すくいあげ・・・

町は、大騒ぎです!

 

 

おとこのこと おばあちゃんは スティーブを 見ていました。

   

 「スチームショベルってさ、つちを たべるものでしょう?」

 「そうよ」

   

 「だから、ぼくは、スチームショベルには なれないし、 

  スチームショベルも、ぼくには なれないんだね

   

 「そういうこと」

 

スティーブは、気持ちが 軽くなりました。

工事現場にもどり、また穴を 掘り始めました。

もう、二度と、

土以外のものは、たべなかったんですって。

   

      

まじめに土を掘って働いていたのに、「きたない」と言われ、プライドを傷つけられたスティーブ。

暴走、迷走が はじまりました。デュボアザンは、ダイナミックな絵で描いています。

      

スティーブの暴走の動機は、土以外のものを食べてみたいという欲求でしたが、なんだか気の毒な感じもします。

    

でも、おとこのこが言いました。「 ぼくは、スチームショベルには なれないし、スチームショベルも、ぼくには なれないんだね 。ひとりひとりが個性的で、みんなちがう、というメッセージです。

      ・・・

※『つちをほらなくなったスチームショベル』 ジョージ・ウォルターズ作、ロジャー・デュボアザン絵、こみやゆう訳、好学社 2018年  (2024/1/11)

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