虹の下には、宝物があると思って、探しに行く、くんちゃんです。

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春のある日、

雨がやんだので、

くんちゃんは、外へ　かけだしていきました。

　

　「あっ、にじだ！」

　

　「にじのねもとには、きんのつまった　つぼがあるよ」

　　　　

　

小鳥から、

きんのつぼのことを　聞いた

くんちゃんは、

手に　おなべをさげて、金のつぼを　探そうとします。

　

　「おとぎばなしですよ」と、おかあさん。

　「きんは　いらないよ」と、おとうさん。

　

それでも、

くんちゃんは、かけだし、

岩のところに　虹のねもとを　見つけました。

　

岩につくと、

虹は、もう見えなくなっていました。

　

りすが

「あっちの　木の茂みに　あると」と　教えてくれました。

でも、

「ただの　おとぎばなしだよ」

りすが　言いました。　

　

　

木の茂みでも、

虹は、見つかりません。

うさぎが、

「むこうの　草むらにあるよ」と　教えてくれました。

でも、

「ただの　おとぎばなしだよ」

と　うさぎも　言いました。

　

　

シマリスに　会いました。

シマリスは、

おおきな木の下にある、と教えますが、

シマリスも、

「ただの　おとぎばなしだよ」と　言います。

　

　

大きな木のしたに、来ても、

にじは　どこにも　みえません。

くんちゃんは、木に　のぼりました。

木の幹に　おおきな　あなが　あいています。

　

　「あった！」とくんちゃんが　さけびました。

　「きんが　あった！　ぼく　これ　すき！」

　　

くんちゃんは、きんを　おなべいっぱいにして　かえります。

「ぼく、きんを　みつけたよ」

シマリス、

うさぎ、

りすが　ついてきます。

　　

　

家につくと、

おかあさんが　ホットケーキを　焼いていました。

おとうさんが、いいました。

「くんちゃんが　にじのねもとで　はちみつを　みつけたんだ」

そして、

ホットケーキに　はちみつを　かけて

みんなで　おいしい　ばんごはんを　たべました。

　　　　　　　

「虹の根元には、金のつまった　つぼが　うまっている」いう話を聞いたくんちゃん。みんなに「ただのおとぎばなしだよ」って言われも、金のつぼを探しにでかけました。くんちゃんは、結局、金のつぼを見つけることはできませんでしたが、そのかわり、おおきな木の中に蜂蜜を見つけました。くんちゃんの探究心と行動力の賜物です。くんちゃんの行動は、子どもの好奇心のあらわれです。

また、くんちゃんの行動をみまもる両親の、あたたかなまなざしがあります。

　

くんちゃんの表情が、とてもゆたかです。子どもたちは、くんちゃんの表情から、くんちゃんのこころと感情を学びとることでしょう。

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※『くんちゃんとにじ』　ドロシー・マリノ作、間崎ルリ子訳、ペンギン社　1984年 （2023/6/28）