ふるはしかずおの絵本ブログ3

『がいこつ』-「ぼく」のようこちゃんへの恋心

ぼくはしんだら がいこつになりたい

びっくりする言葉から始まります。でも、なぜなのでしょうか? この絵本、「ぼく」の恋心を描いているように思いました。がいこつに託して自分の思いを語っています。

     ・・・

がいこつになりたいのは、

ようこちゃんと遊びたい、

手をつないでいたいから、

ようこちゃんに、がいこつの気持ちを教える、

そして、

いつまでもいつまでも ようこちゃんと遊ぶ。

 (みんな「ぼく」の想像です)

そして、現在の気持ちも,書かれています。

 ぼくはぶらんこにのり、

 風を感じ、いい気持ちになるだろうと想像しています。

 なんでも見えるし、なんでも聞こえる。

 骨を鳴らして、かたかた笑う

むかしのことも忘れない、とも言っています。

      ・・・

がいこつになった後のことも,想像しています。

 みんなは、じろじろぼくを見るだろう、

 いじめるだろう。

 でも、ぼくはへいき。

 お腹もすかない、

 死ぬのもこわくない。(苦笑)

だから、

「ぼくはいつまでもいつまでもようこちゃんとあそぶ」のです。

「ぼく」はがいこつになって、空想の中で「いつまでもいつまでも ようこちゃんとあそぶのです。ようこちゃんと遊びたいのです。現実の世界では、「ぼく」はようこちゃんと遊べていないのでしょう。

 

いきているときには わからなかった きもちをつたえる」とがいこつは言っています。 言いかえれば、素直に気持ちを伝えることができない「ぼく」なのです。がいこつになれば、みんなできると「ぼく」は想像しています。少年の「ぼく」のようこちゃんへの恋心。だれにもあったこころが共感を呼びます。

 

また、がいこつがぶらんこに乗り、風を感じ、いい気持ちになるだろうと想像したり、骨を鳴らしてかたかた笑ったり、お腹も空かないし死ぬのもこわくないというところにユーモアを感じます。また、絵本の中のようこちゃんは、がいこつを全く気にしていません。「ぼく」の想像の中にいるようこちゃんだからでしょう

   

和田誠さん(1936年-2019年 )のがいこつの絵にユーモアを感じます。また、。明るいタッチの和田さんの絵が「ぼく」の思いをすっきり伝えています。

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※『 がいこつ 』 谷川俊太郎作、和田誠絵、教育画劇 2005年  (2021/9/17)

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