ふるはしかずおの絵本ブログ3

『点 きみとぼくはここにいる』- ぼくらはみんな、点なんだね。

黒い点が、

白い点が、かたります。会話します。

移民の問題、難民の問題・・・が浮かび上がってきます。

     ・・・

やぁ! 

ぼくは 点(黒い点)だよ。

 

 ぼくの世界には、

 友だちがいて 

 ちゃんと住むところがあって、

 楽しいことも いっぱいある。

 食べものにも こまらない。

 
 

こんにちは。

わたしは 点(白い点)です。

 

 わたしの住むところは、 あまり良くありません。

 住むところも、

 楽しいことも、

 食べものも ありません。

 

 

 そちらのページに行きたいです。

 

 ちょっと まって。 

 みんなで 決めてからじゃないと。

 

 じゃ、いいよ。

 いくつか どうぞ。 

 ゆっくり おちついて。

 

 

 やめて! 

 もうじゅうぶん!

 みんなが こにには おさまらない。

 

  べつの ほうほうを さがさないと・・・

 

 そうだ!

 ぼくらが そちらへ いこう。

 おてつだいに いこう。

 

  みんな いっしょなら ステキなことが たくさんできるんだ!

 

 わたしたちは 点

 ぼくらは みんな 点なんだね。

 

       

黒い点と白い点が象徴することは、移民、難民の問題にとどまらず、格差、ジェンダー、差別、南北問題など、さまざまに解釈することができることでしょう。地球というこの世界のなかで、ともに生きる者同士、認め合い、助け合う心と行動が大切であると語っています。「わたしたち、ぼくたちは みんな (同じ)点」だから。

  

抽象的な表現です。また、現実的な解決策をここにもとめることはできません。しかし、わたしたちの課題が、はっきりわかります。チェーホフが言っていました。「科学は問題を解決するが、文芸は問題を提示する」。

 

  「一歩近づいて見ると、どの点にもいろんな「かお」があり、

   もっとぐんと目をこらすと、色とりどりの「こころ」があります」

               訳者の内田也哉子さんの「あとがき」

 

 

※『点 きみとぼくはここにいる』 ジャンカルロ・マクリ カロリーナ・ザノッティ文・絵、内田也哉子訳、講談社 2022年  (2023/7/4)

SHARE