ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ヘイスタック』-そうしてまた、新しい春が牧場にやってくる
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「ヘイスタック」とは干し草の山。
北アメリカの大草原地帯(プレーリー)で、かつて当たり前に見られたものでした。どのように作くられ、どのように利用されてきたのでしょうか。ヘイスタックをよく知る語り手が語ります

      

 わしらの暮らしておった 大草原にはな、あっちこっちに、
 でっかい「ヘイスタック」があったもんだ。

       


まきばの草が育ちはじめます。

     


草刈り鎌をつけたトラクターで、

育ちきった牧草を刈りとります。
リフトを使ってかき集め、
まきばの真ん中に運んだら、
柵でかこんで、
ヘイスタック に。

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どんどん、
みるみる、
大きくなる ヘイスタック。
高さは4メートル、横幅は50メートルくらいありそうです。
ヘイスタックは牛の餌になります。

    

 家族みんなで 手伝ったもんだ。
 ピッチフォークを かかえてな、
 草を広げて、たいらにする。

    

冬の終わり
雌牛の腹がおおきくなった。
別の場所に移され、

今度は、豚の親子がやってきます。
子牛がうまれたら、牛も豚もみんなで干し草をわけあいます。
ヘイスタックは、

涼しい影をつくり、

冬のつめたい風をふせぎ、

遊び場にもなります。
うう
また、
へ。
ヘイスタックはどんどん小さくなり、いまでは食べ残しやフンばかり。でも、それは牧場じゅうに撒かれ、草の養分になります

      

 そうしてまた、新しい春がきて、
 すべてが ゆっくりと めぐり はじめるんだ。
 もう一度、はじめから。

      

大草原の牧場の一年はこうして過ぎていきます。自然と調和した世界です。このような時代、このような暮らしがあったんですね。 地味な絵本ですが、ノスタルジーだけではない深い内容があります。
アーサー・ガイサートの作品には『あかりをけして』『銅版画家の仕事場』『洪水のあとで―ノアたちのその後』などがあります。
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※『 ヘイスタック 』ボニー・ガイサート文、アーサー・ガイサート絵、久美沙織訳 BL出版 1998年  (2019/11/16)      

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