ふるはしかずおの絵本ブログ3

『コールテンくんのポケット』- 迷子になるコールテンくん

「ぼくのズボンには ポケットがない」。

ポケットをさがす、コールテンくんのはなしです。

  

       ・・・

リサは、

おかあさんと ランドリーに 行きます。

くまの コールテンくんも いっしょです。

リサは、コールテンくんを 椅子にすわらせました。

    

 「ここで しずかに まっててね

   

コールテンくんは、

言われたとおり しました。  

「リサ、ポケットの なかを ちゃんと みてね」

という、おかあさんの声を聞くと、

コールテンくんは、ズボンのポケットを さがします。

 「ポケット? ぼくの ズボンには ポケットがない

    

    

コールテンくんは、

ポケットに なりそうなものを 探しはじめます。

おおきな袋に 入りました。

   

 「ぼく、こんな くらーい あなぐらみたいな ところに、

  ずーっと まえから すんでみたいなって おもってたんだ

    

     

リサは、

コールテンくんを さがしましたが、

どこにも いません・・・

お店が 閉まるので、しかたなく、

あした コールテンくんを 探すことにしました。

   

 コールテンくんは?

 ふくろの中です。

    

ベレー帽の人が、

びしょぬれの コールテンくんを 見つけ、

ズボンを 乾燥機で かわかしてくれました。

店は閉店して、コールテンくん、ひとりになりました。

    

   

次の朝、

リサは、お店が 開くまえから まっていました。 

     

  

 「わすれものを しちゃったんです。さがしても いいですか?」

 「もちろんだよ」

 

 「さがしているのは これかい?」

 「そうです!」

   

リサは、お礼を言って 帰ります。

   

「どうして いなくなっちゃったの?」

「ぼく、ポケットを さがしに いってたんだ」

まあ! それなら わたしに いえば よかったのに

    

リサは、

コールテンくんの ズボンに

ポケットを 縫いつけ、名札も つけました。

    

 「ぼく、ずーっと まえから むらさきの ポケットと

  ポケットに いれる なふだが ほしいなって おもってたんだ

      

             ・・・

コールテンくんが主人公の有名な『くまのコールテンくん』(松岡享子訳、偕成社 1975)があります。その絵本では、コールテンくんは夜のデパートでボタン探しましたが、こんどはランドリーでポケットを探します。その場所で、迷子になる状況もいっしょです。また、「ぼく、ずーっと まえから ~ したいなって おもってたんだ」という、お決まりのセリフも見られます。

リサは、コールテンくんのために、ポケットを縫いつけ、名札もつけてあげました。前作と同様に優しいリサです。

    

コールテンくんは愛すべき人物です。テディベアのコールテンくんは、きっと子どもの愛着物になることでしょう。

 

           ・・・

※『コールテンくんのポケット』 ドン・フリーマン作、木坂涼訳 好学社 2022年(1978年刊行) (2024/2/29)

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