ふるはしかずおの絵本ブログ3

『オオカミのはつこい』- オオカミの気持ちは「ぼく」の気持ち

一目ぼれする、オオカミのはなしです。

    

オオカミが 野原を 歩いていると、

 

 「ん?

 

 「えっ!

   

オオカミは ドキンとしました。

すてきな メスオオカミに であいました。

   

メスオオカミに 近づきたい オオカミ。

いやな顔をされたらと しんぱいする オオカミ。

やめようとする オオカミ。

こころが 乱れます。

   

    

でも、やっぱり いくことにしました。

   

 「オレって すごいんだぜ」と言うつもりが、

 「や、やあ、おはよう」と ひとことだけ。

  ダーッと もどって きてしまいました。

    

   

かっこいいところを 見せようと

ウサギを 捕まえようとしますが、

   

 「えい! あっ、こら! まて!」

   

   

いっぴきも つかまえられません。

滑稽なすがたの オオカミです。

   

ハイイロオオカミと たたかおうとすると、

 「うわっ!」

 「もう だめだー」

   

石に つまづき、坂道を ごろごろごろ。 

   

   

お月様にむかって ほえると、声がうらがえり

    

 「ウヒョヒョヒョヒョ~ン!

   

 「すてき・・・あなたって おもしろいのね」

 「え? こ、このオレが?」

 「おともだちに ならない?」

  

 「いやっほーっ!

   

ふたりは まんまるの おつきさまを 見るために

いっしょに いわやまに 登っていきました。

      

やることなすこと、失敗ばかりの オオカミです。

でも、気持ちは分かります。好きな人の前にでると、オオカミのような気持ちになるものです。私たちにも共通するこころがあります。オオカミへの共感が生まれます。また、思いきって、好きな人に声をかけるには、ちょっとした勇気も必要です。

    

これらの気持ちは、小さい子も変わらないことでしょう。オオカミの言動を通して、自分の感情を知ります。

    

ハッピーエンドで、よかったね、オオカミくん。

      ・・・

※『オオカミのはつこい』 きむらゆういち作、田島征三絵、偕成社 2015年  (2023/9/11)

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