ふるはしかずおの絵本ブログ3

『チトくんと にぎやかないちば』- 西アフリカの市場で

西アフリカの市場が、舞台の絵本です。

    

チトは、

おかあさんと 市場に やってきました。

市場は、とても 賑やかです。

   

チトが、

きょろ きょろ していると、

バナナうりの アデさんが バナナを 6本くれました。

    

 バナナを1ぽん もぐもぐ・・・

 のこりは、

 おかあさんの あたまのうえの かごに ぽいっ。

    

   

オレンジうりの フェミさんが、オレンジを 5こ くれました。

   

 チトは

 オレンジを 1こ ちゅうちゅう・・・

 のこりは、

 おかあさんの かごに ぽいっ。

    

 おかあさんは、ちっとも 気づきません。

   

   

くりかえしです。

おかし売りの モモさんは おかしを 4こ

トウモロコシ売りの クンレさんは 焼きトウモロコシを 3ぼん

ココナッツ売りの デレさんは ココナッツを 2つ

 

  きょうは なんだか

  ずいぶん おもいわね

   

あたまのかごを おろす おかあさん

   

 あらまあ どうしたのかしら!

 バナナが  5ほん

 オレンジが 4こ

 おかしが  3こ

 トウモロコシが 2ほん

 ココナッツも  1こ

 かっても いないのに かごに はいってる!

   


それは みんな ぼうやに あげたんですよ!

  

   

 なんて いいこなんでしょう!

 もらったものを ぜんぶ かごに のせてくれるなんて

    

   

オートバイのタクシーにのると

チトは すやすや。

    

 チトったら なんにも たべないうちに

 つかれて ねちゃったわ

      

           ・・・

チトは、もらったものをひとつだけ食べて、残りは、お母さんの頭のうえのかごに、ぽいっ。おかあさんは、「チトは おなかが ぺこぺこなはず」と心配しています。おかあさんは知りませんが、読者は、チトがたくさん食べたことを知っています。おかあさんの知らないことを知っている読者。こうした仕掛けから、ユーモアがうまれます。また、おかあさんの愛情を感じます。
   

市場には、たくさんの人がいて、とても賑やかです。魚屋ではたらく子、ココナッツを一輪車で運ぶ子、オレンジの皮むきをする子、遊んでいる子、髪を結ってもらっている子がいます。

     

絵本には、豊かな暮らしがありますが、現在、中央・西アフリカでは、深刻な食糧危機が広がっています。

                

            ・・・

※『チトくんと にぎやかないちば』 アティヌーケ文、アンジェラ・ブルックスバンク絵 さくまゆみこ訳 徳間書店 2018年  (2024/3/23)

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