ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 ひとりになった ライオン 』- 自然のなかでひとりで生きていく

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親離れして、ひとりで生きていくことになった 
ライオンの一日です。
     ・・・
サバンナを とぼとぼ歩く 若いライオン。
 木には登れない。
 ダチョウは足がはやい。
 ゾウやキリンは、からだが大きすぎる。
 だから、獲物がとれない。
 とうやって 生きていこうか。
 ああ、おなかが すいたなあ
      ・・・
シマウマの こどもをみつけた ライオン。
しかし、
シマウマの おかあさんが、
おとうさんが、おばさんが、おじさんも集まってきた。
もっともっと 集まってきた。
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 シマウマの こどもは どこに いった?
 わからないな
      
 もう だれでも いい、くってやる!
      
シマウマのこどもが、石ころにつまづいて ころんだ。
おかあさんが 足で蹴る。( 下の絵 )
おとうさんが 噛みつく。
おおぜいで 立ち向かう。
      ・・
勝てない ライオン。
顔が痛い。
鼻も痛い。
とぼとぼ歩いて帰る ライオン。
え12
でも、
わかい ライオンは しっぱいしながらも つよくなっていく
やがて おとうさんのように むれを つくって かぞくを もつのだ
      ・・・
狩りに失敗する姿をみると、ライオンは強いという常識がくつがえされます。自然の中で生きるのは大変です。でも、「わかい ライオンは しっぱいしながらも つよくなっていく」のです。リアルに描かれたライオンは迫力いっぱい。また、人間のような情けない表情や不思議そうな顔も見せています。擬人化したライオンの表現は、かれの内面の理解を助けます。草むらに隠れているライオンを探す楽しみもあります。
裏表紙の絵に、えものを口にくわえたライオンの後ろ姿が描かれています。食べ物にありつけたようです。自立の第一歩です。
      ・・・
※『ひとりになったライオン』 夏目 義一文・絵 福音館書店 2017年  (2018/7/13)

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