ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 これは本 』- かみあわない、ふたりの会話

読書のすすめの絵本です。

      ・・・

パソコンが得意な ロバくん。

本が大好きな サルくん

ふたりのちぐはぐな会話 が はじまります。

      ・・

本を読んでいるサルくんに、

ロバくんが言います。

「どうやってスクロールするの?」

サルくんが答えます。

「しない。

 ぺーじをめくる。これは本だから。」

ブログはしてる?

 しない。これは本だから。

    

マウスはどこ?

メールできる?

ツイッターは?

 できない。これは本だから。

     ・・・

こんどは、サルくんが言います。

「見てみる?」

ロバくんが答えます。

「字がおおいよ。」

パスワードはいる?

ハンドルネームは? 

 いらない。これは本だから

     ・・・

でも、本に夢中になるロバくんがいます。

 ( 起承転結の「転」です )

サルくんが言います。

「ぼくの本かえしてくれないかな?」

ロバくんが答えます。

「だめ。」

「それなら……

 図書館にいってくる」

     ・・・

図書館に行くサルくんに向かって、ロバくんが言います。

「だいじょうぶ。 あとで充電しておくから!

どこまでいっても、かみあわないロバくんとサルくんの会話です。現代人のディスコミュニケーションの状況が描かれています。現代版の不条理劇( いや、漫才? )ともいえそうです。

でも、読書のおもしろさに気づいたロバくん。サルくんが「ぼくの本かえしてくれないかな?」と言うほど本に夢中になりました。ふたりの交差点がうまれました。しかし、最後のロバくんの言葉が笑わせます。「あとで充電しておくから!」


心が今日知ったことを 頭が明日理解する」(ジェームズ・スティーブンス) 読書の意義を語った名言です。

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※『 これは 本 』 レイン・スミス作、青山 南訳、BL出版 2011年  (2019/7/23)

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