ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 ざっそう 』- 懸命に 生きる 草たち 

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はげしい生存競争をくり広げている ざっそう。
「ざっそう」たちの世界にも、ドラマがありました。
     

必死で生きる雑草
よもぎ、
おおいぬのふぐり、
はこべ、
なずな、
じしばり、
ははこぐさ、
きらんそう、
はるののげし、
みんな かわいい花を 咲かせています。
      
 なかまどおし、かたまりあって、はを ひろげ、
 くきを のばして いっしょうけんめい。
 ぐずぐずしていると、ほかの くさに まけてします。

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からすのえんどう は、となりの草にまきついて 勢力をのばしていきます。
おおばこ は、人にふまれても平気です。グランドは、おおばこに覆われてしまいます。
かたばみ は、道の敷き石の間から芽をだしています。
     

いきおいをもった 夏の草たち
えのころぐさ、ははこぐさ、おひしば、えのころぐさ(ねこじゃらし)、すべりひゆ、おおあれちのぎく、ひめしば、おおいぬたで、すべりひゆ、やまごぼう、たけにぐさ、やぶがらし・・・
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でも、どんな草でも人間にはかなわない。
きれいになった 空き地。
でも、1週間目には 草は、もう芽をだしています。
     

草たちは、種をのこして枯れていきます
しかし、
もう 春の草が、そっと芽をだしています。
     ・・・
勢力あらそいいをする雑草たち。意志をもっているかのようです。擬人化した表現と緻密に描かれた絵に「ざっそう」に対する作者の愛情を感じます。夏の草のおわりは、春の草たちのはじまりです。「ざっそう」の1年をとおして、自然のゆたかさ、自然のはたらきを感じます。
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この絵本を通して、たくさんの「雑草」の名前をおぼえました。ひとつひとつ、名前をもっている草たち。でも、なぜタイトルが『ざっそう』なのでしょうか? わたしたちが「ざっそう」と呼ぶことに反省を迫る作者の企み・仕掛けかもしれません。
     ・・・
※『 ざっそう 』 甲斐 信枝作・絵 福音館書店  1976年  (2018/5/18)

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