ふるはしかずおの絵本ブログ3

『そらはあおくて』- いつまでもかわらないこと

4世代の家族のアルバムを題材にした はなしです。

  

        ・・・ 

古いアルバムを見ながら、おんなのこが 言いました。

 

 「このこ おかあさんなの?

 「そうよ

   

いまとは、ちがう服を着ていて、おかいものの仕方も、家もちがいます。

 

 「おかあさんが こどものころって、

  いまと なんだか ちがうのね」


 「そんなこと ないわ。

  たいせつなことは すこしも かわっていない

  そらは あおくて、くさは みどり。

  ゆきは しろくて つめたくて、
  おひさまは まぶしく あたたかい。
  いまと おんなじだったのよ」

寝るまえに おかあさんが だきしめてくれたわ。

  

   

おんなのこは、

次のアルバムを ひらきました。

    

 「おかあさんの おかあさんは?」

 「おばあちゃんのこと?」

 

おばあちゃんが こどものころは、

こんな服を着て、こんなお人形であそんで こんなお店で お買い物をして こんな家にすんでいたのよ。

 

 「おばあちゃんが こどものころって、

  いまと なんだか ちがうのね」

    

 「そんなこと ないわ。

  たいせつなことは すこしも かわっていない。

  そらは あおくて、くさは みどり・・・」

    

寝るまえに おかあさんが だきしめてくれるのも おなじよ。

     

    

次のアルバムを ひらきました。

おばあちゃんの おかあさんのことです。

 

 

おんなのこは アルバムを とじました。
   

 「おわっちゃった・・・」

    

あかあさんが 言います。

 

 「いいえ。まだ つづきが あるの。

  あなたも あなたの こどもに 

  じぶんの しゃしんを みせてあげてね。

  そして、おはなししてあげて」

 

 「たいせつなことは いつまでも かわらない」

 

      ・・・

シャーロット・ゾロトウ (Charlotte Zolotow, 1915-2013年)が1963年にかいた話です。なかがわちひろさんの訳、杉浦さやかさんの絵で出版されました。

      

アルバムを通して、語り合うおかあさんとおんなのこ。おんなのことおかあさんの会話の中から、時代は変わっても、子どもを慈しむおかあさんは変わらないという真実です。「空は青くて、草は緑、雪は白くて冷たい、お日さまはまぶしく暖かい」のと同じように。

     

「あなたも あなたの こどもに じぶんの 写真をみせてあげてね。そして、おはなし してあげて」というおかあさん。世代を越えて、つながることがあります。「写真」を「絵本」と変えて、読んでみたくなります。

    

      ・・・

※『そらはあおくて』 シャーロット・ゾロトウ文、なかがわちひろ訳、杉浦さやか絵、あすなろ書房  2018年  (2024/2/27)

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