ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ピヤキのママ』- ママになるということ

ねこのニャンイは、

ふとっちょで、くいしんぼう、よわいものをいじめる、札つきの ねこ。

そんなニャンイが、母親になる はなしです。

     

      ・・・

ニャンイは、生まれたての たまごが 大好物です。

 

とり小屋で

おやっ!

おいしそうな たまごを 見つけました。

 

 いただきます

 うんぐ

 ごちそうさま

 

 

それから、

なんと、

ニャンイの おなかが だんだん ふくらんで きました。

 

 ふうーん

 おなかが・・・

 

 うーうーうーん。

 うん!

 

ニャンイの おなかから でてきたのは ひよこ

  

 

ニャンイは びっくり。

ひよこは ニャンイに なつきます。

 

ニャンイは・・・

よしっ、

ひよこの あたまを そっと なめました。

「ピヤッ・・・」

と ひよこは 返事をしました。

   

ニャンイは、ひよこを 「ピアキ」と 名づけ

どこへいくのも はなしません。

おいしいものを 食べさせ、

ピアキを 見まもりました。

 

まわりは、

「ニャンイ」ではなく、

「ピアキの ママ」と 呼ぶように なりました。

 

「ピアキの ママ」という名前も わるくない、

と ニャンイは、思いました。

    

  

ふてぶてしい表情で、迫力のあるニャンイ。嫌われキャラクターですが、親となり、ひよこを守ろうとするすがたを見ていると、ニャンイへの共感が生まれます。

ピヤキは、ニャンイを おかあさんだと思い、甘える、愛らしい人物です。正と反のキャラクターの設定が作品の魅力です。負のキャラクターである「ニャンイ」のなかにある、母としての面があらわれました。人物の中にある、プラスとマイナスの性格が、作品に奥行きを与えます。

   

このような作品を通して、子どもは、人物の中にある、矛盾するような対比的な内面をわかっていくことでしょう。

     ・・・

※『ピヤキのママ』 ペク・ヒナ作、長谷川義史訳、ブロンズ新社  2022年  (2023/10/16)

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