ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 ウエズレーの国 』- 自分だけの文明をつくる想像力・創造力 

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夏休みの自由研究で、
自分だけの文明をつくる ファンタジーです。
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ウエズレー(表紙)は、すこし変わった男の子。
ピザもコーラもきらい。サッカーなんて、ばかばかしい。友達もいません。いじめらっ子ですが、逃げるのは得意だから大丈夫!
くよくよ、うじうじしていません。自分らしさを失わないウェズレーです。
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夏休み、
自由研究のテーマが、ひらめきます。
じぶんだけの作物をそだてて、じぶんだけの文明をつくんだ!
庭をたがやすと、夜、風にのって、「ほら、ぼくのはたけに、たねがとんできた」。種から芽がでて、彼はあたらしい作物(後に彼はサルーシュと呼びます)をそだてます。
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ウエズレーは、
成長したその植物の実を たべたり、
かたい皮をかわかし、カップにしたり、
茎からとった繊維で、帽子を編み、服をつくり、種から油をとったりします。むし除けの効果のある油は、販売します。
 ( たくましいウエズレー! 生活の基礎を築きました。 )
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ウエズレーをいじめていた子どもたちも、作業を手伝いはじめます。
ウエズレーは、日時計をつくり、1日を8つにわけて、じぶんだけの時間をきめます。新しい数の数え方も発明します。自分の庭を、ウエズランディア(ウェズレーの国) と名づけました。ウエズレーは、庭の作物でつくった道具で、みんなで遊べるゲームも考えだしました。
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すべてのものに新しい名前をつけ、80個の文字も自分でつくり、ウエズレー語もできあがります。
時間、
数、
遊び、
文字の創造です。
種からとった油にススをまぜて、インクをつくり、
ウエズランディアの歴史を、ウエズレー語で書くことまでします。
 ( 歴史まで! )
夏休みがおわり、学校が始まりましたが、
ウエズレーは、もう、ひとりぼっちじゃなかった
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栽培、製作、販売、発明、名づけ、創造し、本を書くウエズレー。自分だけの文明をつくるウエズレー。彼は自分の世界をもちました。ウエズレーの探究心、行動力、想像力・創造力に感心します。想像力は、認識とむすびつき、創造性の魂です。
ウエズレーの、自分だけの文明は、あたらしい人間関係をうみだしました。彼は、つぎに、どのような社会を想像・創造するのでしょうか。あたらしい課題が生まれました。続編を期待したい絵本です。
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※『ウエズレーの国』  ポール・フライシュマン作、 ケビン・ホークス絵、 千葉 茂樹訳  あすなろ書房  1999年
【 追 記 】
ケビン・ホークスの絵は、サルーシュと呼ばれた植物の赤い花、背景の青が印象的でした。青のうつくしい絵を引用しました。 (2016/9/10)

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