ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 せかいいち おいしいスープ 』- もう 食べ物に困ることはない?

ポルトガルの民話です。
原題は、STONE SOUP(1947年)
石のスープ って、いったい なんでしょうか ?
・・・
戦争が終わり、ふるさとに帰る 3人の兵隊がいます。
はらぺこで、ぐっすり眠りたい 3人。
ある村に やってきました。
村人たちは、3人を警戒して、食料もベッドもないと答えます。
・・・
すると、
3人の兵隊は、一計を案じ、石のスープ をつくることにしました。彼らは、おおきな鍋で、水を沸かし、そこに 石をいれました
村人たちは 興味津々。
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「 どんなスープにも、しおこしょう は かかせませんな 」
にんじん が はいれば 」
「 たいがい キャベツ が はいっているんだがな 」
ぎゅうにくじゃがいも が あれば 」
さらに、
おおむぎ も、
ぎゅうにゅう もあればと 3人の兵隊は言います。
・・・
塩と胡椒、
にんじん、
キャベツ、
牛肉、
じゃがいも、
大麦、
牛乳は、みんな 村人たちが持ってきました。
そして、ついに スープの出来上がり。 みんなで 大宴会!
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豪華な スープ。世界一おいしい スープです。
しかも、それが、ただの石から 出来ているんです!
( まあ、たしかに最初は、石だけでしたが。 )
翌日、村人たちは言います。
もう食べものに 困ることはない。
だって、石から スープを つくることを おぼえたんだから

( そのとおり! )
・・・
マーシャ・ブラウン(1918-2015)は、この絵本で、1948年のコルデコット賞オナー賞を受賞しました。以前『しあわせの石の スープ』( ジョン・J・ミュース作・絵、三木卓訳、フレーベル館 )を紹介しましたが、この絵本も石でスープをつくる話でした。ミュースの絵本は、3人の兵隊ではなく、3人のお坊さんが主人公でした。村人たちの閉じた心がひらかれる おはなしです。マーシャ・ブラウンの絵本は、笑いとユーモア、皮肉の味付けがつよくでています。
また、石でなく、釘や斧を用いた同じようなおはなしが、ヨーロッパ各地にあります。
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※『 せかいいち おいしい スープ 』 マーシャ・ブラウン文・絵 こみやゆう訳 岩波書店  2010年  (2018/4/15)

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