ふるはしかずおの絵本ブログ3

『きこりとおおかみ』-おおかみの難から逃れる。でも、どうやって?

フランスの民話です。

    ・・・

ある冬の夕暮れ

腹をすかせた オオカミが 

木こりの家に 忍びこみました。

  

きこりとおかみさんは、

すかんぽのスープづくりに 夢中でしたが・・・

  

 「あっ! あっ! あっ!

   

ふたりは おおかみに 気が付きました。

でも、

どうしたら、よいのでしょうか?

  

いっぽう、

おおかみは、だれから、どれから、食べようか、迷っていました。

きこりが 先か

おかみさんが 先か

スープが 先か。

  

 「カトリーヌ! スープをたっぷり ぶっかけておやり!

 

おかみさんは、

煮立ったスープを おおかみに かけました。

でも、スープが もったいないので、

そんなに たっぷりでは ありませんでした。

  

 おおかみは、すっとんで 逃げていきました。

 

 

一年が たちました。

きこりが、森で木を 切っていると、

やけどで あたまのはげた おおかみが、群れをしたがえて やってきました。

きこりは、すはやく 木のうえにのぼりました。

  

木の下では、おおかみたちが 吠えつづけます。

   

おおかみたちは、

あたまのはげた おおかみの肩に とびのり、

2ひきめ、

3びきめと 肩にのり、

どんどん 高くなってきます。 

    

  

きこりは……

  

 「カトリーヌ! すかんぽのスープをたっぷり ぶっかけておやり!

   

きこりが 叫ぶと、

いちばん下の あたまのはげた おおかみは、

大慌てで かけだしました。

上にのっていた おおかみたちは、転がり落ち、

よたよたと にげていきました。

   

きこりは 木からおり、

おかみさんの待つ ちいさな家に かえっていきました。

   

         ・・・

おおかみに追い詰められたきこりは、機転を利かせて、難からのがれました。

おおかみが食べる順番をかんがえる場面は、なんとなくユーモアを感じます。また、おかみさんは、スープがもったいないと思い、スープをすこしだけおおかみにかけます。とても生活感のある場面です。

    

絵はとてもダイナミックです。動きがあります。紙芝居にしたら面白いでしょう。

   

「すかんぽのスープ」は、はじめて聞きました。フランス料理にあるようです。また、「すかんぽ」つながりで、「すかんぽの咲く頃」(北原白秋詞、山田耕筰曲)という童謡を知りました。

      ・・・

※『きこりとおおかみ』 山口智子再話 堀内誠一画、福音館書店 2021年 (初版1987年)

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