ふるはしかずおの絵本ブログ3

『おやすみなさい』- 子どもはきっと眠くなる

「おやすみなさい」の絵本です。

どのように、子どもを眠りに誘うのでしょうか。

    

    ・・・

月がのぼり、

うごくもののない、しずかな 夜。

 

 

 おやすみなさいが ゆっくりと

 やねのうえに おりてきました

 

 

とんがり屋根の 家の窓から、「おやすみなさい」

窓の下をとおる 甘栗売りが、「おやすみなさい」

家に帰ってきた 女の人も、

赤ん坊を抱いた お母さんも、「おやすみなさい」

 

 

屋根のうえの こねこが 言います。

  

 「だれか ぼくといっしょに あそばない?」

 

 

 でも、おやすみなさいは・・・

 まちに ひろがりはじめて いるのです

 

 

テレビの 女の人が、「おやすみなさい」

おまわりさんが、  「おやすみなさい」

しょうぼうしが、  「おやすみなさい」

眠りかけている 犬に 「おやすみなさい」

 

屋根の上の こねこは、ないています。

  

 「だれか ぼくといっしょに あそばない?」

 

 

 でも、おやすみなさいは・・・

 まちじゅうに ひろがっているのです

 

 

おんなのこは、 

おかあさんに

おとうさんに

おにいさんに 「おやすみなさい」

 

 

 おやすみなさいは まちを やさしくつつみこんで

 じっと うごかなくなりました

   

こねこも いいます。  「おやすみなさい おかあさん」

ねこの おかあさんも、「おやすみなさい」

     

白、黒、黄色の3色だけの絵。色使いが落ち着いています。

 

そのなかで、黄色がとても印象的です。月明かりの黄色、部屋の中の光の黄色。「おやすみなさい」の文字も黄色です。さいごは、部屋の明かりはみんな消え、月明かりだけになりました。

  

遊びたい、こねこが出てきます。「だれか ぼくといっしょに あそばない?」と言っていたこねこも、最後は「おやすみなさい おかあさん」。ねこは、読者の子どものことでしょう。

   

「おやすみなさい」は、最後は「じっと うごかなくなりました」。

「おやすみなさい」のリフレイン、ゆったりとしたリズムが、眠りにさそいます。

       ・・・

※『おやすみなさい』 イブ・ライス作、片山令子訳、ほるぷ出版 1995年  (2023/10/11)

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