ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 いっすん ぼうし 』- 雅やかな絵と文章の絵本

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多くの人が知っている昔話。
いっすんぼうしの出世物語です。
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昔、あるところに、
おじいさんと おばあさんが いました。
2人には、子どもがありません。どうぞ、子どもをおさずけください
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すると、おばあさんから、男の子が生まれました。
でも、親指ほどの大きさしかありません。おじいさんとおばあさんは、いっすんぼうし と名づけ、たいせつに育てます。
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ある日、
都で、ひとはたらきしようと思います。
しばらく おいとまをくださいと いっすんぼうしは願います。
いっすんぼうしは、
おおきな川に、おわんを浮かべ、
箸の櫂で、こぎのぼっていきました。
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そして
都で、りっぱな おやしきで働くことに。
おひめさまに気にいられ、おともで、清水寺へ参詣に。

帰り道、
三びきの鬼に おそわれた そのときに、
いっすんぼうし ここにあり!
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いっすんぼうしは、鬼の目を針の刀で
ちくり!
ざくり!
ちくりざくり!  ちくりざくり!

おにたちは、
こうさんだ!
あかおに、あおおに、くろおには逃げ出し、
あとには、うちでの小槌が残されました。
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小槌をふれば、願いはなんでもかなう。 
おまえの望みのものから、だしましょう。
わたしの望みは、からだが大きくなること。
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おひめさまが、小槌をふると、
ずん!  
ずん!  
ずん!  ずん!  ずん!

いっすんぼうしは りっぱな若者に。
いっすんぼうしは、出世して、ひめを花嫁にむかえ、
おじいさん、おばあさんとしあわせに暮らしました。
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いっすんぼうしの誕生と成長、京への旅路と鬼退治、おひめさまと結婚。しあわせな暮らしの大団円。明快なストーリーです。家から独立して旅に出ることや鬼退治など、主人公のいっすんぼうしは自分で人生を切り開いていった人物です。でも、からだは小さいまま。自分のからだを大きくしたいという望みをかなえたのは、打ち出の小槌の魔法でした。打ち出の小槌は、わたしたちの「ねがい」を象徴するもの です。
また、ちくり、ざくり、ずん ずんのオノマトペが生きています。石井桃子の整った文章と秋野不矩のみやびな日本画の絵本。「いっすんぼうし」の定番絵本です。
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※『 いっすん ぼうし 』 石井桃子文、秋野不矩絵 福音館書店 1980年  (2019/1/6)

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