ふるはしかずおの絵本ブログ3

『びんから だしてごらん』- ありのままが一番

自分のこころに、ふりまわされる ルウェリンのはなしです。

  

     ・・・

ルウェリンは、

こわい本、こわい冗談、こわい映画が 好き。

でも、

ほんとうに こわいと感じるのは、嫌いでした。

ルウェリンは、

こわい気持ちを 

びんに いれて 地下室にしまいました。

 

 

 ああ、よかった。

 

 

 ルウェリンは、

 かなしい 気持ち、

 うきうきした 気持ち、

 くやしい 気持ち、

 さびしい 気持ち、

 うれしい 気持ちも、

 がっかりした 気持ちも、

 

 みんな、びんに つめました。

 

   

びんは どんどん ふえました。

ルウェリンの こころは、とても しずかに なりました。

  

図工の時間、

ルウェリンの作品が、みんなに 笑われてしまいました。

ああ、恥ずかしい。

恥ずかしい気持ちも、いそいで びんに とじこめました。

こころの おくが みしみし ぎしぎし 痛くなりました。

 

すると、とつぜん・・・

 

 がっしゃーん

 

びんが ぜんぶ 壊れ、中身が 飛びだしました。

ルウェリンを もみくちゃにして 飛んでいきました。

さいごに、

こわい気持ちも 出ていきました。

 

ルウェリンは、

いろんな気持ちを まぜこぜに 感じるようになりました。

嬉しいのに かなしく なったり、

心配だけど わくわく したり。

こころが  ふわっと 広がりました。

 

  

ルウェリンは、もう自分の気持ちを 隠しません。

気持ちを 感じとり、

ことばで 伝えたり、

あばれそうな 気持も、ぎゅっと だきしめて、

空へ はなしてやることが できました。

 

 ああ、よかった!

   

           

自分の気持ちに振りまわされることに疲れたルウェリンは、自分の喜怒哀楽の気持ちを びんに押し込めました。しかし、その結果、「こころの おくが みしみし ぎしぎし いたく」なってしまいます。そして、びんは、突然、割れてしまいました。たくさんのびんは、たくさんの感情があることの証拠です。

   

そして、ルウェリンは、ありのままの 自分を受け入れることに 気がつくのです。

    

前作の『びんに いれてごらん』(2022年)は、思い出をビンに入れるはなしです。

『びんから だしてごらん』は、自分の気持ち・感情を「びんからだす」はなしでした。

      ・・・

※『びんから だしてごらん』 デボラ・マルセロ作、なかがわちひろ訳、光村教育図書 2022年  (2023/9/2)

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