ふるはしかずおの絵本ブログ3

『木に なろう!』- 木と森からまなぶ

木と森のことを語りながら、わたしたちとわたしたちの社会について論じています。

「木=わたしやあなた、木ぎ=わたしたち、森=わたしたちの社会」です。

サブタイトルの「かたりあい、ささえあう」が、キーワードです。

 

 

木になろう!

   

 すっくと 立って、

 お日さまに むかい、えだを つきだせ

 地面のなかに 根を はりめぐらせろ

 

 木の幹は 背骨

 木の皮は 肌

 なかを 守ってくれる

 

  

木の 皮の 

したは  「へんざい」

内側は  「しんざい」

真ん中は、「ずい」

木が 育つのたすけ、ささえる

    

 

 大空に 枝を ひろげよう

 かげを つくって 根を まもれ

 大気を 呼吸し、

 日の ひかりを のみこんで

   

  

きみは 木だ

きみは ひとりぼっちじゃない

たくさんの 木ぎの うちの ひとり

    

 ねっこは・・・森の すべての 木ぎと つながっている

   

 かたりあい

 たべものを ともに とり

 いっしょに 水を ため

 ものを わかちあい

 たがいに きけんを しらせあう

   

 じめんに なかには 

 たくさんの じょうほうが あふれている

  

   

木ぎは 

空気を 清め

地面を 固める

森は どうぶつたちの すみかだ。

森は よわい木をかばい、びょうきの木をいやす。

    

 

 森は かぞく、なかま、くに、うちゅう

  

   

 みんなで いっしょに 木に なろう

 わたしたち みんなが 森なんだ

     

     ・・・

「植物は会話している」という植物学の最近の研究をふまえ、木と森のことを語っています。それはわたしと人間社会のことでもあります。わたしとあなたにとって、どのように生きることがたいせつか、また私たちの社会の在り方について、木と森から学ぼうと論じています。

    

   

「作者のあとがき」にある文です。  

・木ぎは、まわりの木とあまった糖分を共有し

 光合成の比率を調整して、みんなが繁栄できるようにしている

 

・木々は・・・根っこについている菌類の情報網をとおして、

 害虫や渇水などの危険を知らせ合っている

 

根っこと菌類は相棒であり、養分を交換しあい、

 神経回路のようにつながり、学びあう

 

そして、森がしているように、わたしたちも社会を守るためにできることがあります。「あとがき」に書かれているそのひとつ。「学校でも、こまったときに助けあえるような関係づくりをしよう」

    

       ・・・

※『木に なろう!』 マリア・ジャンフェラーリ作、フェリシタ・サラ絵、ひさやまたいち訳、評論社  2022年  (2024/2/17)

SHARE