ふるはしかずおの絵本ブログ3

『パンどろぼう』- パンどろぼうの表情が笑えます

表紙の人物が、パンどろぼうです。表紙から、もうおはなしが始まっています。

      ・・・

「おれは パンどろぼう。おいしいパンを さがしもとめる おおどろぼうさ」

パンどろぼうの掟が、壁に貼ってあります。

   

 ふっくらやきたてをねらう
 いただくパンはひとつだけ。
 いただくときはかんしゃをこめて

   

ある日、パンどろぼうは、森の中でパン屋をみつけました。

「ちょっと のぞいてみるか・・・」

おいしそうなパンが並んでいます。

「あじみを してみよう」

 

 かくれみの術、

 はやあしの術、

 ねらったパンを かついだら

 いっきに ピューン!

   

「しめしめ やったぞ!」

「いただきま~す!!」

    

 まずい

   

パン屋さんに抗議します。

「なんだ このまずいパンは!」

「パンがしゃべっているぞ。いったい なにものだ?」

「おれはパンじゃない! パンどろぼうだ!」

パンどろぼうの正体は、ねずみでした。

パン屋のおやじさんは、驚きましたが、こういいました。

「そもそも むすみは いけないよ。・・・ちゃんと あやまってください」

「わかったよ」

「きみも いっしょに パンを つくるのは どうだろう」

   

パンどろぼうは、

ぴかぴか

ふわふわ 

しっとり 

もっちもっちのパンを つくりました。

森のパン屋さんは 大賑わいです。

パンどろぼうのねずみは、パン職人になりました。

     ・・・

パンを食べるときの幸せそうな表情のパンどろぼう。 パンどろぼうの仕草もおもしろい。愛らしいパンどろぼうのキャラクターです。


かくれみの術とはやあしの術をつかって、パンどろぼうはパンを盗みに入りました。でも、絵の中に姿が見えています。「ここにいるよ」とパンどろぼうを見つける楽しみがあります。ユーモアがあります。ハッピーな結末も人気の秘密のひとつでしょう。

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※『パンどろぼう』 柴田ケイコ作、角川書店、 2020年

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