ふるはしかずおの絵本ブログ3

『かばくん』-文章の理解を助ける絵

マイペースなかばくん。ゆったりとした時間の流れを感じます。

      ・・・    
どうぶつえんに あさが きた 
いちばん はやおきは だーれ
いちばん ねぼすけは だーれ

 (いったい誰なのでしょうか?)

 (かばくんです)

      ・・・

どうぶつえんは、もう11時。

まだ、目をあけない かばくん。

   
や かめくん

や かばくん

   

かめくん

きょうは なんようび

 きょうは にちようび

あ そうか

なんだか ううるさいと おもった

きた きた きた きた

どら ちょっと みてこよう

     ・・・

こんどは 子どもの視点からです。

   

 かばだ かばだ かばだ

 うわっ うわっ

 ちびの かばだ

 あれっ かめのこだ

   

きゃべつ とうもろこしを かばくんにあげる 男の子。

 

 うわっ たべちゃった

 

もう おなか いっぱいなんだな

もう おなか いっぱいなんだ

さようなら またくるよ

うん 

おやすみ、かばくん

ちびのかばくん

文章には、いろいろな人物たちの言葉が入っています。複数の視点からの多声的な文章です。おはなしが立体的に組立られています。

 

語り手の視点、男の子のかばくんへの呼びかけ、かばくんとかめくんの会話、見物の子どもの声、男の子の視点と変わります。「うわっ たべちゃった」の言葉があります。語り手、子どもたち、かめ、読者、みんなの驚きの声です。そして、かばくんとかめくんの会話、最後は語り手の言葉で締めくくられます。

 

文章の視点に添って絵が描かれていますので、視点の転換が多いわりに分かりやすいものとなりました。ゆったりとした時間の流れを感じます。「うわっ たべちゃった」の絵(上の絵)は迫力があります。みんな、本当にびっくりです。

       ・・・

※『かばくん』 岸田衿子作、中谷千代子絵、福音館書店  1966年 (2022/4/1)

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