ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ぼくにげちゃうよ』-目に見えないもの、母の愛を見る絵本

説明1

あるとき、
こうさぎは、家をでて、どこかへ いって みたくなりました。
そこで、 かあさんうさぎに 言います。
「ぼく、にげちゃうよ」。
すると、 
かあさんうさぎが いいました。
        ・・・
「おまえが にげたら かあさんは おいかけますよ。 だって、 おまえは、 とっても かわいい わたしの ぼうやだもの。」
「かあさんが おいかけてきたら、 ぼくは おがわの さかなになって およいでいっちゃうよ。」
「おまえが おがわの さかなに なるのなら、 かあさんは りょうしになって おまえを つりあげますよ。」
       ・・・
説明2
       ・・・
このあと、二人の会話は、しりとりのようにして 続きます。 
会話のなかで、 追いかけごっこが はじまります。
その文章は、
とても 整っています。
「 もし、 かあさんが ~ するならば、 ぼくは、 ~する 」 という仮定の表現は、子どもの日常には、あまり見られない言い方です。
すこし背伸びをした表現、
使ってみたい言い方です。
絵本のなかで、
こうした 会話が くりかえされますので、
「 仮定 」 というものの見方や 表現 の仕方が、しぜんに身につきます。
        ・・
愛は、目に見えません。
しかし、くりかえされる 会話のなかに、
子どもを 慈しみ育てる 母親の愛情が あらわれています。 
もっとも うつくしい人間の心として、体験されるのです。
           ・・・
画家のクレメント・ハードは、
この絵本を 気に入っていたようです。
文にはない ユーモアが あります。
にんじんで  釣りあげようとする かあさんうさぎ。
木になって、こうさぎを 待つ かあさんうさぎ。
つなわたりをして 追いかける すがたには、
危険をかえりみず 子どもを まもろうとする 母の愛を見ることができます。
また、
壁に絵がかかっています。 題材は、マザーグースです。
       ・・・
説明3
       ・・・
原題は、The Runaway Bunny( 1942年 )。
70年以上も昔の絵本ですが、
子をいつくしむ母親の真実は、かわりません。
また、
訳者の いわたみみさんは、
『 ぼく にげちゃうよ 』 と 魅力的な タイトルを つけました。
読者への仕掛けがあります。
           ・・・
※ 『 ぼく にげちゃうよ 』 マーガレット・W・ブラウン文、 クレメント・ハード絵、いわたみみ訳、 ほるぷ出版  1976年
 翻訳された 彼女の 絵本には、 次のようなものが あります。
 『 あかいひかり みどりのひかり 』レナード・ワイスガード絵、 谷川俊太郎訳、童話館出版
『 いたずらねこのスニーカー 』J・シャロー絵、 乾有美子訳、ペンギン社
 『 おはようのほん 』J・シャロー絵、 谷川俊太郎訳、 童話館出版
 『 おやすみなさいのほん 』 J・シャロー絵、 石井桃子訳、 福音館書店
 『 さんびきの ちいさいどうぶつ 』 ガース・ウィリアムズ絵、 乾有美子訳、ペンギン社
 『 しずかで にぎやかなほん 』 レナード・ワイスガード絵、 谷川俊太郎訳、 童話館出版
 『 たいせつなこと 』 レナード・ワイスガード絵、 内田也哉子訳、フレーベル館
 『 ちいさいもみのき 』バーバラ・クーニー絵、うちだりさこ訳、 ほるぷ出版
 『 ぼくは あるいた まっすぐまっすぐ 』 坪井郁美訳、 林明子絵、ペンギン社
 『 まんげつの よるまで まちなさい 』 ガース・ウィリアムズ絵、松岡享子訳 ぺンギン社

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