ふるはしかずおの絵本ブログ3

『マグナス・マクシマス、なんでもはかります』-はかれないものもありました

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むかし、マグナス・マクシマスという おじいさんがいました。
もの・ことをはかるのが大好き。
      ・・・
時計
天秤
温度計
晴雨計
望遠鏡
潜望鏡

彼の家には、なんでもそろっていました。
    ・・・
もの数えるのも 大好き
空の雲、
ゼラニウムの花びら、
顔のそばかす、
はしかのポツポツ、
菓子パンのレーズンを 数えました。
 ( かわっていますね )
   ・・・
ある日、

サーカスから一頭のライオンが逃げだしました。町のひとたちは大騒ぎ。でも、マグナス・マクシマスはライオンの前に立ちはだかり、
止まれ!

   
そして、

ライオンのしっぽの長さ、
ひげの長さ、
たてがみの中にいるノミの数をかぞえ、

聴診器で心臓の音をかぞえました。
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ありとあらゆるものをはかりますが、人が楽しそうにしていても、悲しそうにしていてもすこしも気がつきません。ある朝、メガネをこわしてしまったマグナス・マクシマス。

メガネがなければ、

みえません。

はかれません。
 (メガネは象徴的なものです)
     ・・・
マグナス・マクシマスは、

浜辺で男の子と出会い、遊びます。

海にはいって、バシャバシャ、キャーキャー。

おかしな歌を歌ったり、

砂のお城もつくりました。

変わりはじめたマグナス・マクシマス。

彼はまわりをゆっくり見るようになりました
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すべてをはかろう(計・測・量)とする行為をユーモアをもって描いています。マグナス・マクシマスにも、はかれないことがありました。それは人のこころ。愛、やさしさ、信頼など人のこころをはかることは難しことです。何でもをはかろうとする現代ですが、想像力で感じること、体験してわかることがあります。そして、自分の目とこころで見ることがたいせつです。マグナス・マクシマスは典型的な現代人のひとりです。わたしたちと重ねあわせて読んでみました。

         

数値化できないものまでを、はかろう(計・測・量)とする現代の風潮に対する風刺の効いたおはなしです。

     ・・・

※『マグナス・マクシマス、なんでもはかります』 キャスリーン・T・ペリー作、S.D. シンドラー絵、福本友美子訳 光村教育図書 2010年 (2020/7/31)

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