ふるはしかずおの絵本ブログ3

『なずず このっぺ? 』- 虫たちが語ります

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昆虫語(?)で書かれた絵本。
「なずず このっぺ?」というタイトルが不思議。
  ( (´-ω-`) )
      ・・・
土の中から、芽がでました(表紙)。
それに向かって虫たちが言います。
なずず このっぺ?
わっぱど がららん

絵本の帯を見ますと、「なずず このっぺ?」は「なに これ?」、「わっぱど がららん」は「さっぱり わからん」だそうです。なんとなく分かります。
      ・・・
じゃじゃこん!
なずず このっぺ?
プクロニ むげむん
わっぱど がららん
やまに プクロニ?

      ・・・
ダンダノビ ちょりまん。
ずんずうう。
コロジン たもろん?
コロジン!
コロジン!

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虫たちの世界のドラマが絵に描かれています。
ちいさな芽はずんずん伸びます。はしごを掛け、遊び場になっていきます。てっぺんに蜘蛛が巣をかけます。でも、その蜘蛛は鳥に食べられてしまいます。
そして、花が咲きます。虫たちは、ルンバボン! ルンバボン! みりぼ ルンバボン! みりぼ めりぼ ルンバボン!と感嘆しています。しかし、草は枯れてきました。
じゃじゃこん コロジン。
じゃじゃこん コロバン。
じゃじゃこん フンクレガ
……
そして、みんな去っていきました。
      ・・・
夜、
バイオリンを弾く虫。
音楽にあわせ蝶が踊ります。
冬が来て、
春が訪れ、また芽がでています。
そして、また、
なずず このっぺ?
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昆虫の言葉で書かれていましたが、分かりましたか?
 ( なんとなく。)
絵がストーリーを語っています。
 ( だから、わかる。 虫もしゃべるんだね。)
おもしろい絵本でしたか?
 ( こんな絵本、好き。)
       ・・・
※『 なずず このっぺ? 』 カーソン・エリス作、アーサー・ビナード訳、 フレーベル館 2017年
【 すこし長い 追 記 】
 草野心平(1903-1988)に「ごびらっふの独白」という詩があります。かえるがかえる語で幸福論を語ります。『ごびらっふの独白』(いちかわなつこ絵、斎藤孝編、ほるぷ出版)という絵本になっています。このブログでも紹介していますので、かえる語を学びたい人はどうぞ。草野心平の日本語訳もついています。
 まど・みちお(1909-2014)に「タンポポ」という詩があります。イヌ、ウシ、ハト、カラス、デンデンムシなどが「タンポポ」をどのように呼んでいるかが書かれています。因みに、ウシはタンポポを「ターモーモ」、ハトは「ポッポン」、カラスは「ターター」と言っています。『たんぽぽ ヘリコプター』(南塚直子絵、小峰書店) 。
 宮沢賢治(1896-1933)の作品「やまなし」のなかで、2匹の蟹の子どもが「クランボン」のことを話していました。「クランボンはかぷかぷわらったよ」とか「クランボンは死んだよ」と言っていますが、クランボンとは何ものなのかよくわかりません。蟹の子どもたちのセリフのなかにだけ出てくる言葉ですので、もしかしたら、この「クランボン」は蟹語かもしれません。私たちが認識できない世界がこの世界にはあります。『 やまなし 』(安藤徳香絵、福武書店)。
 『なずず このっぺ? 』は、小学校1・2年生の読書感想文コンクールの課題図書(2018年)になりました。どのような感想文が書かれたのでしょうか。興味がわきます。昆虫語で感想文を書いた子はいたのかな。  (2018/11/20)

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