ふるはしかずおの絵本ブログ3

『せかいでさいしょに ズボンをはいた 女の子』-「わたしの ふくを きているのよ」

世界で最初にズボンをはいた、

メアリー・E・ウォーカー(1832-1919)の少女時代のはなしです。

 

      ・・・

ちょっとだけ 昔、

女の子は、

ズボンを はいちゃ いけない時代があった。

 

でも、メアリーは、

女の子が、

ドレスだけしか着ることができないのは、おかしいと 思った。

  

 

彼女は、あるイディアを 思いついた。

誰もが 驚くような アイディア!

これは いい!

 

彼女は、

ズボンをはいて、町へ 出かけた

すると・・・

町は、とにかく もう 大騒ぎ。

 「ズボンなんか はいて、後悔するぞ」

 「するもんですか!

 

でも、みんなの ことばが、胸にささりました。

お父さんが 言います。

 

 「にんげんって、あたたりまえだと おもっていたことが 

  かわってしまうのが こわいんだよ」

次の朝、

メアリーは、だれが なんていおうと、

ズボンを はくことにした。

ズボンは・・・

はやく あるける。

 

学校は 大騒ぎ。

きみは、男の子の服を きているから、教室に はいれないと言われても、

メアリーは、言った。

 

 

 「男の子の服を きているんじゃないわ。

  わたしは わたしの ふくを きているのよ」

 

 

メアリーが 

かくごして 教室に入ると、

ズボンをはいた 女の子は・・・

メアリーだけでは ありませんでした。

自分の着たい服(ズボン)を着た少女の行動が、まわりを変えました。そして、女性の服装について、あたらしい常識をつくりあげました。「わたしは わたしの ふくを きているのよ!」という小さな少女の主張は、女性の権利の拡大と結びついています。

 

メアリー・E・ウォーカーについての解説が「あとがき」にあります(要約)。

1832年にニューヨーク州オスウィーゴで生まれた彼女は、小さいころから独立心と正義感に満ちた少女でした。女性がズボンをはくことは、当時の常識から大きくはずれたことでした。大人になったとき、彼女はズボンをはいたことで、何度も逮捕されました。1855年医学部を卒業し、南北戦争に北軍の外科医として活躍し、戦後名誉勲章を受章します。医師を引退した後は、講演と執筆で、女性の参政権とすきなものを着る権利を訴えつづけました。

  

       ・・・

※『せかいでさいしょに ズボンをはいた 女の子』 キース・ネグレー作、石井睦美訳、光村教育図書  2020年  (2023/7/2)

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