ふるはしかずおの絵本ブログ3

『かしてあげたいな』- 「思えば思わるる 」

「かしてあげたいな」って言う「ぼく」。

ぼくは、

なんの ために、

だれに 貸してあげたいの でしょうか。

なにを 貸してあげたいの でしょうか。

  

      ・・・

ほくの スプーン

てんとうむしに かしてあげたいな。

 

  てんとうむしの すべりだい

 

 

ぼくの フォーク 

ねずみに かしてあげる。

 

  ねこが いじめたら、フォークで えいっ!

 

 

ぼくの てぶくろは りす。

りすのぶらんこ

どんぐりも はこべるよ

 

ぼくの ぼうしは カンガルーに。

雨に ぬれないために

 

ぼくの 傘は さるに。

さるの パラシュート!

 

ぼくの マフラーは キリンに。

ママのも、パパのも、

かしてあげる。

風邪を ひかないために

 

 

 ぼくの シーツ、 

 ぞうの あかちゃんに かしてあげる

 ぞうの あかちゃんの まえかけ

 

 おかあさんの ぞうが よろこぶよ。

 きっと ぼくを せなかに のせてくれる。

 「いっしょに のせて!」って、

 みんなが いうよ。

 

       ・・・

大切なものは、人には貸したくないものです。でも、絵本は、自分のものを貸してあげる「ぼく」の行動をくりかえし表現しています。反対に、貸してもらえた相手にとっては、とてもうれしいことでした。

 

貸してあげることは、「ぼく」に喜びとなってかえってくるでしょう。ぞうのおかあさんは「きっと ぼくを せなかに のせてくれる」と「ぼく」は、想像しています。長新太さんの絵は、その姿を表現しています。「情けは人のためならず」。「思えば思わるる 」。

  

「かしてあげる」と自然に言える子どもに育てたいものです。

       ・・・

※『かしてあげたいな』 八木田宣子文、長新太絵、絵本塾出版 2017年  (2023/7/11)

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