ふるはしかずおの絵本ブログ3

『うまはかける』- 「かける」という言葉のくりかえし

言葉遊びの絵本です。文末の「かける」が、脚韻をふむようになっています。

   

      ・・・

おおかみは かける

うまは   かける

かけに   かける

むちゅうで かける

ちゅうを  かける

  

このあとは、

「駆ける」だけでなく、

「掛ける」

「欠ける」

「掛ける」

「書ける」

「描ける」

 の言葉遊びです。

  

必死で おおかみから にげる うま。

根っこに 足を ひっかけ、

歯が かけ ました。

   

うまは、

看板を 首に かけ、

「しゃべれないので、歯医者さんは どこですか」の

字も 書けました。

 

うしの 背中に 腕を かけ、

歯医者さんでは、椅子に かけ、

歯医者さんは、 マスクを かけます。

 

うまは、絵も 描けます。

 

月が 欠け、

ぴゅー

落ちてきた 月のかけらは おおかみに あたり、

おおかみは、「うんの つき」

  

うしと うまは 音楽を かけ、

おおかみは、「・・・おれ、しにかける」

    

         ・・・

同音異義語の多い、日本語の特色をいかした言葉遊びの絵本です。ストーリーがあり、リズムがあり、笑いがあります。絵本の中のどうぶつたちは、ユーモラスな表情を見せています。おおかみは、最初と最後に登場しますが、損な役回りです。でも、「・・・おれ、しにかける」とはなしにオチをつけました。

アニメーション作家の山村浩二さんの絵です。軽妙な文章は、内田麟太郎さんです。

       ・・・

※『うまはかける』 内田麟太郎文、山村浩二絵、文渓堂 2018年  (2023/7/31)

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