ふるはしかずおの絵本ブログ3

『雪の写真家 ベントレー』- 雪とともに歩んだ人生

雪の研究と 雪の結晶の写真撮影に 生涯をささげた

ウィルソン・ベントレー(1865-1931)の 伝記絵本です。
     

     

ウィリーは、

アメリカの 豪雪地帯に 生まれました。

雪がふると 大よろこびで 外にとびだします。

雪を じっと見つめる 少年でした。

     

     

かあさんから、

古い顕微鏡を もらうと、

雪の結晶を 観察する 少年でした。

そして、

おなじ形の 雪の結晶が ふたつとないことに おどろきました。

雪の結晶を 何枚も何枚も スケッチしました。

    

   

両親は

ウィリーが、17歳の時、

「雪なんかに夢中になって」と、言いながらも、

雪の結晶を 写すために、

顕微鏡付きカメラを 買って やりました。

      

顕微鏡付きカメラを 手に入れてから、

2度目の 冬に、

彼は、雪の結晶を うつす方法を ようやく 見つけだしました!

   

   

 「雪が、どんなに美しいか見てもらえるぞ」。

   

    

彼は、

雪の結晶の 写真を 人にあげたり、

安くわけて あげました。

幻灯会も ひらきました。

おとなも 子どもも ウィリーの雪の結晶の写真を 楽しみました。

    

   

ウィリーは、

雪の写真を 雑誌に 発表したことで、

小さな村の農夫が、世界的な「雪の専門家」になりました。

    

ウィリー、66歳のとき

写真集(『雪の結晶』)は、寄付で 出版されました。

カメラを 手に入れてから、50年もの年月が 流れています。

       

ベントレーは、

写真集の 出版の直後に 肺炎で 亡くなりましたが、

彼の業績を称える 博物館が たてられています。

  

           ・・・

ベントレーの人生は、けっして ドラマチックなものではありませんでした。むしろ、目立つことのない、地味な生涯であったとも言えます。しかし、家族の愛情に支えられ、好きなことに打ち込んだ彼の一生は、わたしたちを感動させるものがあります。彼のようなことが容易にできないことを、わたしたちは知っているからです。

     

ベントレーは、彼の写真をミルクに喩えてこう言っています。

 

「酪農家からは、いっぱいのミルクを。そして、わたしの写真からも、おなじくらいだいじなものを受け取ってもらえるだろうと、わたしは信じている」

 

写真をミルクに喩える表現からも、飾り気のない人柄、謙虚な性格が分かるような気がします。絵本は、1999年度コールデコット賞を受賞しました。

     ・・・

※『雪の写真家 ベントレー』 ジャクリーン・ブリッグズ・マーティン作、メアリー・アゼアリアン絵、千葉茂樹訳 BL出版 1999年  (2024/12/30)

SHARE