ふるはしかずおの絵本ブログ3

『チャーリー、こっちだよ』- ふたりは歩きつづけた

〈 だれでもぼくじょう 〉は、

こころやからだに 傷をおった 動物が 

あんしんして 暮らせる 場所です。

 

   

目が、片方しか 見えない
ウマの チャーリーが やってきました。
    

   
 いつも ひとりでいる、

 誰にも ちかよって ほしくない 

 ヤギの ジャック。

 

 
ある日、

チャーリーのことが 気になっていた

ジャックは、勇気をだして 言いました。

  

 「チャーリー、こっちだよ

   

ジャックは、

お気に入りの 野はらに 案内しました。

そして、いっしょに 草を 食べました。

   

つぎの日も。

また、つぎの日も

ふたりは いっしょです

    

 でも、

 ジャックは、

 小屋には、けっして はいりませんでした。

 つらい思い出があり、からだが いやがるのでした。

    

  

ついに、

チャーリーは、両方の目が みえなくなりました。

ある日、

チャーリーは、ひとりぼっちのジャックが、友だちを作れるように 言いました。  

「あいさつだけでも してみようよ」

   

   

きみに なにが わかる!

 目だって 見えないくせに!

   

チャーリーも ジャックも びっくりした。

ジャックは、そんな酷いことを いうつもりは なかったのです。

    

  

 ゴロゴロ、ピシャーン!

    

  

はげしい雨が、ふりだしました。

風が、ふきあれ、

チャーリーは、木の下敷きに なってしまいました。

   

ジャックは はしった!

 

小屋のみんなに 助けをもとめました。

「こっちだ、こっちに チャーリーが!」

牧場のみんなは、チャーリーを 助けました。

   

その夜、

みんなは 小屋で

かたまって まるくなって ねました。

   

つぎの日も

またつぎの日も、

そのさきも ずっと

ふたりは 歩きつづけました。

「チャーリー、こっち。こっちだよ」

   

       ・・・
ヤギのジャックの角は、片方が欠けています。〈だれでもぼくじょう〉に来る前に、虐待を受けたのに違いありません。ジャックは、「きみに なにが わかる! 目だって 見えないくせに!」と、言うつもりのない言葉を、チャーリーに言ってしまいました。ジャックのこころの傷の深さを感じます。

   

しかし、チャーリーとジャックには、お互いを思いやる心があります。ふたりの間に、友情がうまれました。こころやからだに傷を負った、チャーリーとジャックから、やさしさを教えられます。おはなしは、人間のこころと行動のたとえです。

       ・・・

※『チャーリー、こっちだよ』  キャレン・レヴィス作、チャールズ・サントソ絵、いわじょうよしひと訳、BL出版 2020年  (2023/8/29)

SHARE