
ルシールの行動は、「ほんとうの自分って、なんだろう」と読者に問いかけます。
ルシールは おひゃくしょうさんの うまです。
でも、ときどき
ルシールは 水たまりに写る 自分を見て
「わたしって、ぱっとしない うまね」と思いました
ある日、
おくさんは、
ルシールを きれいにしようと
町へ でかけました
ルシールが
ある店で ピンクのバラのついた 帽子を みつけると
おくさんは
その帽子を 買いました
赤いくつを はかせ
かわいい ドレスも 着せました
「ほら、ごらんよ ルシールを。りっぱなもんだろ?」
と、おくさんは いいました
「りっぱすぎて、もう はたけで すきを
ひっぱって もらえないよ」
と、おひゃくしょうさんは こたえました
ルシールは こぶたに つんとすまして いいました
「わたしは もう きふじんなんだから
そばに ちかよらないで」

パーティの日
たくさんの おくさんが ルシールに 会いに きました
ルシールは 花束を たべてしまいました
「きふじんは はなを たべないのよ」
と、言われました
お客さんの おしゃべりを きいていて
ルシールは だんだん むしゃくしゃ してきました
ルシールは
ドレスを 踏んで やぶき
お客の 奥さんを つきとばし
ティーポットを こわし、クッキーを こぼして しまいました
「わたしは きふじんじゃ ないわよ
わたしは うまよっ!」
ルーシーは
部屋を とびだし
どんどん
かけて
はたけに とびこみました
その晩
ルシールは ピンクの ばらと ぼうしを ばんごはんに たべました
「わたしは、ふつうの げんきな うまに なれて うれしいわ」
・・・
「わたしって、ぱっとしない うまね」と思い、いまの自分ではない、あたらしい自分になりたいという気持ちは、ルシールと同様に誰にもあることです。「きふじんなんだから そばに ちかよらないで」という、高慢なところもありましたが、ルシールの行動が憎めなく感じます。でも、それは、奥さんによって、外見を飾られたことによる新しいルシールです。
「貴婦人」として窮屈な生活をすることは、彼女のほんとうの望みではありませんでした。けっきょく、ルシールは、お百姓さんと働くのが一番と気がつきます。それこそ、ほんらいのルシール、自然な「わたし」です。
・・・
※『ルシールはうま』 アーノルド・ローベル作、岸田衿子訳 文化出版局 1974年 (2026/3/28)









