ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 檀君 朝鮮半島の建国神話 』-天と地の間にお生まれになったお方

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朝鮮半島の建国神話です。
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むかし むかし 遠いむかし、
空の上に 神々の国がありました。
桓因(ファニン、帝釈天の別名)という神がおさめ、平和と幸せにみちていました。
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あるとき、
桓因の息子・桓雄(ファヌン)は思います。
あの美しい地上で 人間とともにくらせたら どんなにいいだろうか
桓雄(ファヌン)は、3つの天なるしるしを与えられ、
風、
雨、
雲の神々と
3000人の部下とともに、地上に降ります。
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太伯山の神聖な木のしたに、祭壇をまつりました。
善悪を さとし、
農事を おしえ、
病気を なおし、
地上は、住みやすいところになっていきます。
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ある日、クマとトラが、桓雄をたずねてきます。
人間になりたい ふたり。
桓雄は、ヨモギひとたば、ニンニク二十個を与えて言います。
これを食べ、百日間、日の光を見ずにすごせ。さすれば 人間になれるであろう」。
クマは、辛抱強く我慢をします。
トラは、あきらめ洞窟をとびだします。
クマは、二十一日目に美しい女になりました。
それが 熊女 (ウンニョ)でした。
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熊女(ウンニョ)は、桓雄の妻にむかえられ、男の子をうみます。
桓雄は喜び、
その子に 檀君 という名をつけました。
父母の愛を一身にうけ、すくすく育った檀君。
やさしさと強さをそなえた少年になりました。
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やがて、人々は
天と地の間にお生まれになったお方、
われわれの王となられるお方、と檀君をふかく信頼しました。
檀君
人々をよくみちびき、
1500年の間、国をよく治めました。
檀君朝鮮は、たいへん栄えたということです。
古朝鮮の建国王である檀君の来歴をしるした神話です。
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画家のチェ・スッキさんは、前半の天上界を青を基調に描いています。後半は暖色系で、ゆたかな地上の世界を表現しています。また、上の絵の 檀君は、天上の色の青ではなく、丹色系の服を着て両手を開いています。高貴な身分を表現しているだけでなく、人びとを導く地上の王となったことを象徴しています。
以前、このブログで日本の神話『くにのはじまり』( 舟崎克彦文、赤羽末吉絵、あかね書房 )を紹介しました。建国神話、民族の来歴にまつわるふたつの作品を「つづけ読み」をしたら面白いと思います。

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※『 檀君 朝鮮半島の建国神話 』 キム セシル作、チェ スッキ絵、かみやにじ訳、 少年写真新聞社 2006年  (2019/11/11)

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