ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 サリーの こけももつみ 』- 人物は知らないのに、読者は知っている

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ふた組の親子の すれちがいの ドラマです。
ふた組の 親子とは?
サリー と おかあさん。
くまの 親子です。
      ・・・
ある日、
サリーは、おかあさんと こけももを 摘みにいきました。
    
 ポリン・ポロン・ポルン !
    
くまの親子 も、こけももを 食べに やってきました。
サリーは、こけももを食べるのに 夢中です。
おかあさんと はぐれて しまいました。
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そして、なんと、
くまの おかあさんに ついて行って しまいます。
     ・・・
一方、こぐまも、サリーのおかあさんのあとに ついて行きます。
そして、バケツのなかの実を 食べて しまいました。
ぱくり!
勘違いの ふた組の 親子。
おかあさん同士は 気づいていません。
どうなるのでしょうか?
     ・・・
でも、
ふた組の 親子は、
ポリン ・ ポロン ・ ポルン
むちゃむちゃ ごっくり
の音に 導かれ・・・
おかあさんは、サリーと、
くまの おかあさんは、こぐまと 再会です。
みんな、
無事に 家に帰ることに なりました。
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最後はハッピーエンドですが、それまでは、ハラハラ ドキドキの 体験です。読者のこのような体験は、絵本の人物たちは知らないのに、読者は知っているというところから来ています。人物と 読者のこうした関係 は、『 ロージーの おさんぽ 』のように、絵本ではよくみられます。
また、3回の ポリン・ポロン・ポルン の音がおもしろい。たのしい音、へんな音、それぞれちがった意味をもった ポリン・ポロン・ポルンです。
絵は、自然のうつくしさ、サリーの家の生活(下の絵)まできっちり描いています。 また、山の澄んだ空気まで感じることができます。1947年初版の ロバート・マックロスキー(1914年~2003年)の 名作絵本です。
       ・・・
※『 サリーの こけももつみ 』 ロバート・マックロスキー 文・絵 石井桃子訳 岩波書店 1986年  (2017/10/13)
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