ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ばけくらべ』- きつねとたぬきの化かしあい、知恵くらべ

「へらこいぎつね」と「ごんべえたぬき」の化けくらべです。

       ・・・

へらこいぎつねが、来ました。

   

 「ごんべえどん、ごんべえどん、ばけくらべをしよう」

     

ごんべえだぬきは、仲間を集めて、

“ たぬきりゅう ばけかた ” と言う巻物をひらき、

花嫁行列」に化けることにしました。

     

 「ばけるぞう。それぇ」 

      

花嫁行列は、しずしずとあるきます。

お宮までくると、

鳥居の下に、饅頭がおちています。

  

 「あっ、まんじゅう・・・」

 「おらんだ」

 「おらんだ」

  

たぬきたちは、化けの皮がはがれ、元のたぬきに戻ってしまいました。

「あははあ、あははあ・・・あは、あは」

きつねが、転げまわって 笑いました。

     ・・・

後半です。

 「よーし、いまにみていろ」

 

たぬきたちは、知恵を絞り、いい考えが 浮かびました。

 

 「あすの ひるごろ、かいどうの まつなみきの 

  ところに こられたし」。

    

へらこいぎつねが、侍に化け、待ちかまえていると・・・

 えいほー よれー

 えいほー よれー

 大名行列がきます。

   

へらこいぎつねは、いきなり 飛び出し、

 

 「ごんべえどん、ごんべえどん・・・かごから かおだしてみい

   

 「ぶれいものめ!

 

本物の大名行列でした。

へらこいぎつねは、さんざんな目にあいました。

「ええ くやしい、たぬきに まんまと だまされたわい」

    

たぬきは 手をたたいて よろこびました。

「たぬきたちは、いい考えが 浮かびました」とありますが、それがどのような考えなのかは分かりません。「人物(きつね)も知らない、読者もしらない」というパターンです。どうなるのだろうと興味がうまれます。最後まで、読者をぐいぐいと引っぱっていきます。

 

また、花嫁行列で失敗した経験をいかして、「大名行列」にするところは、たぬきの知恵でした。大名行列に化けたふりをして、きつねを化かすところは、とても賢い策です。仲間と一緒に行動するごんべえだぬきの勝ちです。

 

瀬川康夫さんの絵は、化ける時の人物のすばやい動きをダイナミックに表現しています。

      ・・・

※『ばけくらべ』 松谷みよ子作、瀬川康夫絵、福音館書店 1989年 (2022/7/13)

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