ふるはしかずおの絵本ブログ3

『こしおれすずめ』- 昔話の再創造をまなぶ 

宇治拾遺物語「雀報恩の事」(巻第三・第十六話)が、おはなしの源流です。

瀬田貞二さんは、子どものための文学として、再創造しています。

   

    

  [前半]

すずめが 

子どもの投げた 石にあたって うごけなくなりました

はねを ばだばた させています

 

おばあさん

すずめに ものを たべさせ

桶に いれて ねかせました

   

ひと月後

すずめは 飛べるまでに なりました

おばあさんは すすめを にがしてやりました

  

  

20日ほどたって

すずめが もどってきました

そして、口から なにかを 落として とびさりました

   

 「なんだろう」

    

それは、

ひょうたんの 種でした

   

おばあさんが 種を うえてみると・・・

みごとな ひょうたんが なりました

おばあさんは ひょうたんを 

村じゅうに よその村に わけでやりました

   

そして

ひょうたんを 8つばかり

ひさご(瓢箪)にしようと 吊るしておきました

    

乾いた ひさごを 

おろして、くちをきり 

おばあさんが あけてみると・・・

お米が ぎっしり つまっていました

 

いつまでも お米は なくなりません

おばあさんの 家は、おおいに さかえました

   

   

  [後半]

となりの 欲深い おばあさんが 

すずめの話を きき

すずめに 石を投げ

飛べなくなった 3羽の すずめを 

おけにいれて かいました 

おばあさんは すずめが よくなると 外を ほうりなげました

   

 

10日ほどたって

すずめたちが もどって きて

ひょうたんの 種を おとしていきました

   

ひょうたんは おおきく なりました

おばあさんは ひょうたんを 干しました

   

いく月がたって

もうよかろうと

おおきな 米櫃を ならべ

ひさごの 口を 切ると・・・

   

 はち

 あぶ

 むかで

 へびが ぞろぞろ

   

ばあさんの からだじゅうに とりつき

重い病に なってしまいました

    

            ・・・

腰が折れたすずめを助け介抱するばあさんと、欲深く愛情のないおばあさんの前半と後半の二部構成です。この対比によって、慈悲深いおばあさんの姿が鮮やかに浮かび上がります。

       

人物の本質は、その行動に現れます。行動を通して、人物の本質を表現するのは、昔話の表現の方法です。

     

すずめの恩返しは、意外にも、ひょうたんの種でした。しかし、種を植え、ひょうたんを育てることで、おばあさんはお米がなくならない瓢箪を得ることができました。言いかえれば、おばあさんに与えられたお宝は、「舌切り雀」のような「つづら」ではなかったとも言えます。「ひょうたんの福」のモチーフを結びつけ再話した、瀬田貞二さんの創造です。また、語りのリズムを大切にした文章です。

 

           ・・・

※『こしおれすずめ』 瀬田貞二再話、瀬川康男絵、福音館書店 2009年  (2026/7/2)

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