ふるはしかずおの絵本ブログ3

『みっつのねがいごと』 - 滑稽でもあり深刻でもある事態を招く願いごと

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むかし、仲睦ましいきこりの夫婦がいました。
しかし、
はたらいても 
はたらいても 食べ物がじゅうぶんにありません。
     ・・・
ある日、
夫婦が 森で木を切っていると、
たすけてくれぇ の声。
夫婦は、
木にはさまれていた 子鬼を助けました。( 下の絵 )
 かんしゃ かんげき あめ あられ。 
子鬼は、しっぽをぐるんとまわして言います。
おかえしに、願いをかなえてやろう。
 でも、三つだけ
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ふたりは 考えます。
服にするか、
お金にするか、
お屋敷にするか、
ろばににするか、
荷馬車と馬にするか、
宝石箱にするか・・・
   
 だが、とりあえず、
 おらは ばんめしに なべにいっぱいの ソーセージが ほしいぞ

   
そのとたん、
暖炉の中で、ソーセージのジュージュー焼ける音がします。
   
 あんた、ばかじゃないの!・・・
 こんなソーセージなんか、 
 あんたの そのだんごっぱなに くっついちまえばいいんだわよ!

    
おかみさんが言ったとたん、ソーセージは、
きこりの鼻に。
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あ~あ、 もう、 ねがいをふたつ つかってしまった!
のこりは ひとつ。
どうする?
     ・・・
ふたりは  
考えたすえ、
手をあわせ、3つめの願いごとを。
 どうか はなから ソーセージを とってくださいまし。
そして、ふたりは、ソーセージをたらふく食べたというおはなし。
     ・・・ 
ソーセージが鼻につくことは、たいへんな事態です。でも、やっぱり、おかしい。深刻さと滑稽さが同居しています。願いが実現することで、思わぬ災いを招いてしまうという事態であり真実です。おはなしの世界だけでなく、現実の世界にもありそうなことです。ソーセージが鼻につくことはありませんが。 禍福はあざなえる縄の如し
     ・・・
※『みっつのねがいごと』 マーゴット・ツェマック文・絵  小風さち訳 岩波書店 2003年  (2017/5/18)

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