
原作は、フランスの歌手ドミニク・マルシャン(1952-1989)の歌物語(1972年)です。
つめたい風の吹く、クリスマス
住む家のない、老人が いくあてなく 歩いています
しろい
ちいさい 犬が ついて きました
首輪には、金色の 星が ひかっていました
「どこから きたんだい?
おまえも ひとりなのかい?」
もみの木の下で
老人は
犬と パンを 分けあい
物語を 犬に きかせて やりました
そして しずかに 歌を うたいました
ふたりは、あまりの寒さに
小屋に かけこみました
小屋で じっと すわっていた
犬が ふいに こう いいました
「ぼくは、じつは 魔法使いなのです
親切にしてくれた お礼に あなたの 願いを
かなえてあげましょう」
老人は こたえました
「わしは、昔から 犬が ほしかったんだよ」
ちいさな 犬の ともだち
それは、老人が ずっと さがしていた ものでした
魔法使いは、ながいこと 黙っていました・・・
やがて
魔法使いは
金色の 星の ついた 首輪を はずしました
魔法の 力を すてて
ほんとうの 犬に なりました
老人は また あるきだしました
ちいさな しろい犬が ついて いきます
・・・
考えさせられる場面が、3度ありました。
ひとつは、魔法使いが「あなたの願いをかなえてあげる」といったとき、「犬の ともだちがほしい」と老人が答えたときです。お金ではなく、ともだちがいれば十分だという幸福観です。もうひとつは、魔法使いが、魔法の力をすてて、本物の犬になった時でした。老人に寄り添う犬になったのです。3つ目は、社会の片隅にいきる人への作者のあたたかなまなざしです。
人は何によって幸せになるのか、を読者に問いかけます。
・・・
※『魔法の夜』 ドミニク・マルシャン原作、アルブレヒト・リスラー絵、木本栄訳、講談社 2001年 (2026/6/27)









