ふるはしかずおの絵本ブログ3

『 スガンさんの やぎ 』- 自由を 求めて 飛びだした ブランケット

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原作は、「アルルの 女」「最後の授業」の作家、ドーデー(1840年-1897年)です。
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スガンさんの やぎ、
なまえは ブランケット。
山で とびはねたら、 おろしろいだろうな と 思いました。
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スガンさんは、ブランケットを 小屋のなかに閉じ込めます。
でも、あいている窓から、
ぴょおん!
ブランケットは、自由を求めて、山に向かって逃げ出しました。
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山には、囲いはありません。
なにをするのも 自由。
おいしい草が いっぱい。
いろいろな花も あります。
カモシカたちにも 会いました。
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しかし、遠くに、おおかみの声が 聞こえます。
    
 うううおう !  
 うううおう !

    
ブランケットは、おおかみと出会い、戦います。
よが あけるまで がんばろう !
ブランケットとおおかみの戦いは、一晩中 つづきました。
そして、
とうとう、
ブランケットは、 動かなくなってしまうのです。
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命が保証される小屋の生活と 危険ですが山のなかの自由な生活が、対比されます。塀のなかから見る山は、ブランケットにとってどれほど美しく見えたことでしょう。憧れの山でした。でも、山は、おおかみのいる世界でもありました。       
原作で語られるこの話は、詩人のグランゴアールという人物にむけて、語り手が 教訓話 として語ったものでした。勝手気ままに 暮らすとどうなるか、 おおかみに殺されるブランケットと同じように 無残なことになると、自由を夢みるものへの戒めとして語られます。
でも、語り手の意図とはちがって、読者は、自由をもとめるブランケットの決断と行動に共感していきます。生き方について、さまざまに考えさせられます。
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※『 スガンさんの やぎ 』 ドーデ 原作、岸田衿子文、中谷千代子絵 偕成社 1966年
岸田衿子と中谷千代子のコンビによる絵本は、他に『 かばくん 』『 ジオジオの かんむり 』『 かばくんの ふね 』(いずれも福音館書店)などがあります。 (2017/1/23)

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