ふるはしかずおの絵本ブログ3

『おだんごぱん』- ずるがしこい きつねに学ぶ?

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流れるような文章。
リズミカルな歌。
読みかたりの たのしい絵本です。
     ・・・
おだんごぱんを つくってくれないかと、おじいさんが、頼みました。
おばあさんは、こな箱をごしごしかいて、粉を集めて、おだんごぱんを 焼きました。( ふたりの暮らしぶりが わかります )
     ・・・
ところが、
おだんごぱんは、ころころと転がりだし
野原へ。
そこで、うさぎに会いました。
おまえを ぱくっと たべてあげようと、うさぎは言います。
そうは できないよ。
おだんこぱんは、歌いだしました。 ♪ ♫
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ぼくは、てんかの おだんごぱん。
ぼくは、こなばこ ごしごし かいて、あつめて とって、それに、クリームたっりまぜて、バターで やいて、それから、まどで ひやされた。
けれども ぼくは、 おじいさんからも、 おばあさんからも、にげだしたのさ。 おまなんかに つかまるかい。

     ・・・
絵本は、このくりかえしです。
おおかみからも、
くまからも、
このをうたって 逃げました。
     ・・・
さいごは、きつね。
おだんごぱんを 褒めちぎる きつね。
おだんごはんは、嬉しくなって歌いはじめます。
ああ、すばらしい うただ
     ・・・
きつねは、もう一度と リクエスト。
耳が遠くなったから、
今度は 
鼻の上で。
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つぎは、
舌の上で。
そのほうが よく聞こえるから。
おだんごぱんは、言われるままに、きつねの舌の上に。
    ・・・
そこを
ぱくっと。
きつねは、おだんごぱんを 食べてしまいました。
  ( やっぱり ! )
おはなしって、何かのたとえ。たとえ話なんですね。
     ・・・
※『 おだんご ぱん 』  ロシア民話、 瀬田貞二訳、 脇田和絵、 福音館書店 1966年
【追記】
イギリス、ノルウェーの昔話にも同じような話があります。瀬田貞二さん(1916-1979)の絵本は、ロシア民話です。でも、なぜ、遠く離れたところに、同じような話が あるのでしょうか? ひとつの話が、各地に拡がっていったという説、昔の人たちの考えかたはよく似ていたからという説もありますが、まだよくわかっていないようです。
絵は、脇田和さん(1908-2005)。詩情あふれる絵で有名な洋画家です。この絵本の絵も、童話的で温かな世界です。ユーモアも感じます。風刺や皮肉のこもった話とはやや異質な感じですが、この絵本の魅力をかえって高めています。  (2016/10/5)

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