ふるはしかずおの絵本ブログ3

『ボタンちゃん』- 「あなたのおかげね」

『博士の愛した数式』の小川洋子さんの初の絵本です。ボタンちゃんは、アンナちゃんのブラウスの一番上にとまっています。ボタンちゃんの仲良しは、ボタンホールちゃん。ふたりはいつも一緒です

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ところが、

ある日、ボタンちゃんの糸が切れてしまいました。

ボタンちゃんはコロコロとこがっていきます。ついたのは、おもちゃ箱の裏側です。すると、どこからか泣き声が聞こえてきます。

泣いているのは、ガラガラでした。

アンナちゃんはもう、ぼくのことなどわすれてしまったのでしょうか

アンナちゃんが大きくなったのは、

あなたのおかげね

とボタンちゃんは、ガラガラを慰めます。

ボタンちゃんは、 コロコロと転がって洋服ダンスのうらへ。

そこにいたのは、

くしゃくしゃで、皺だらけのよだれかけ。淋しく泣いています。

アンナちゃんが上手にご飯を食べるようになったのは、

あなたの友情のおかげね

とボタンちゃんは、よだれかけを慰めます。

       

次に転がった先はベッドの下です。

ホッキョクグマのぬいぐるみがいます。アンナちゃんに忘れられ「ふーっ」とため息をついています。

ボタンちゃんは、ホッキョクグマを慰めます。

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「あら、こんなところに・・・」

ママがボタンちゃんを見つけ、ブラウスに縫いつけてくれました。

ガラガラ、よだれかけ、ホッキョクグマを見つけたママは、みんなをきれいに洗って『思い出の箱』にしまいました。

アンナちゃんはもっと大きくなりました。ブラウスはアンナちゃんには小さくなりました。『思い出の箱』にしまわれる時がきました。

こんにちは

ボタンちゃんは、ガラガラ、よだれかけ、ホッキョクグマに言いました。ボタンホールちゃんも挨拶をしました。みんな、『思い出の箱』からアンナちゃんの無事を祈っています。

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ガラガラ、よだれかけ、ホッキョクグマも、アンナちゃんの子育てに関わっています。赤ちゃんの時の思い出の物たちです。ボタンちゃんも『思い出の箱』にしまわれるところは、ちょっと切ない気持ちになります。アンナちゃんは大きくなりました。みんな、成長したアンナちゃんのことを喜び、アンナちゃんの無事を祈っています。淡い色合いの絵は、アンナちゃん、ボタンちゃん、ボタンホールちゃん、ガラガラ、よだれかけ、ホッキョクグマを優しく包んでいます。

   

教育のことを学んでいて、

「子どもは成長する」の事実に、はっとしたことがあります。

   

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※『ボタンちゃん』 小川洋子作、岡田千晶絵、PHP研究所 2015年  (2022/3/11)

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