ふるはしかずおの絵本ブログ3

『おばあちゃんのにわ』- ポーランド移民のおばあちちゃん

祖母の思い出を、孫の「ぼく」が語ります。

    

     ・・・

ぼくの おばあちゃんは、

もとは ニワトリ小屋だった家に すんでいます。

毎朝、おとうさんは、ぼくをおばあちゃんの家まで、送ってくれます。

  

おばあちゃんは、いつも 台所にいます。

おばあちゃんの家は、庭でとれた たべもので いっぱいです。

   

   

 おふろ場に ピクルスのびん

 シャワーのよこに ニンニク

 くつばこに ビーツ

 ベランダに トマト

 ゆりいすに ニンジン

 ベッドのよこに リンゴ

   

  

朝ごはんを つくってくれる おばあちゃん。

長いあいだ、食べものがなくて 困ったことがある おばあちゃん。

ぼくが オートミールを こぼすと、

それにキスして、ぼくのおわんに もどす。

    


雨の日、

おばあちゃんは、ゆっくり歩き、ミミズをさがす。

ミミズは、

野菜を育てている庭に まいて、土をかぶせる。

 

 いつもふたりで、そうしてた・・・

   

 

おばあちゃんは、

ぼくの家に きた。

おばあちゃんは、ぼくのとなりの部屋で ねている。

ぼくは 

毎朝、オートミールに、切ったリンゴをのせて もっていく。

ミニトマトの種を うえきばちに まいて、

おばあちゃんの部屋の 窓に おく。

 

 そうだ・・・

 

ぼくは、

雨の中に とびだし、

ゆっくり 歩く。

ミミズを のこらず ひろいあつめながら。

 

       ・・・

カナダの詩人、ジョーダン・スコットが、祖母との思い出を描いた絵本です。おばあちゃんは、ポーランド移民です。第二次世界大戦中、家族とともに、たいへんな苦労を味わい、戦後、おじいちゃんとカナダに移住しました。

ニワトリ小屋だった家、たべものでいっぱいの家の中、毎日おなじ朝食、ぼくがこぼしたオートミールをお椀にもどす行為、庭のためにミミズを集めること・・・。苦労をかさねてきたおばあちゃんの過去が、わかるような気がします。

こうした人生をおくった人がいました。

       ・・・

※『おばあちゃんのにわ』 ジョーダン・スコット文、シドニー・スミス絵、原田勝訳、偕成社  2023年  (2023/8/31)

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